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2025/05/01

『入札不正の防ぎ方 受発注者が知っておくべきコンプライアンスのリアル』

『入札不正の防ぎ方 受発注者が知っておくべきコンプライアンスのリアル』 (表紙画像は出版社ホームページより)

発行/株式会社日経BP
著者/楠 茂樹
編集/日経コンストラクション
発行日/2024年11月
定価/3,850円(税込)
ISBN/9784296206667

公共入札の談合には、課徴金の増額による抑止力強化や、競争入札による透明性の確保が図られてきたが、談合をはじめとする入札不正は今なお起きている。本書は、こうした談合に対し、どのような行為が該当するのか、近年の談合事件を関係法令に照らして改めて解き明かすほか、受発注者の暗黙の了解のもとに談合を容認してきた指名競争入札の時代から現在に至るまで、どのように制度改革が進められてきたかを紹介する。
長きにわたり、発注者にとっては予算の安定執行、受注者には安定受注につながる双方のメリットから〝必要悪〟として談合が容認されてきた一方、その対策となる一般競争入札は、ダンピングによる品質確保の問題や入札不調の発生など制度的な課題が度々指摘され、談合を誘発する側面をみることもできるが、本書で繰り返し強調するのは、「いかなる理由があったとしても法律は容赦しない」こと。さらに、競争入札という形にこだわるあまり、一者入札を回避するための〝お付き合い〟入札参加など、「『中身のない競争の体裁』に対し、公共入札への適用が積極化している独占禁止法や官製談合防止法のかっこうの餌食となる」と警鐘を鳴らす。

こうした法令と実態の乖離は、1990年代に始まった入札改革から未だ解消されず、令和の時代においても継続した制度改革を迫られている。突破口の一つとして本書が注目するのが議員立法であり、近年では、2005年に制定された公共工事品質確保法だ。2024年6月の改正では、随意契約の理由を法的に追加し、一者応札が想定される工事に対して随意契約を適用するための柔軟性を示している。入札不正を防ぐだけでなく、これからの公共入札制度の在り方を考える上でも最適な一冊。

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