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建設廃棄物処理で違反をしないために 建設廃棄物処理のルールを学ぶ

第10回
建設汚泥・伐採材

2014/10/27

1. 建設汚泥

築工事のアースドリル工法、SMW工法などから発生する建設汚泥は、産業廃棄物として委託処理する必要があります。また、土木工事のシールド工法などから発生する建設汚泥については、発注仕様等により建設汚泥の再生利用が求められる場合があります。

(1) 建設汚泥の定義
  • 泥水シールド工法、アースドリル工法などから生じた廃泥水、及び含水率が高く粒子が微細な泥状の掘削物は建設汚泥として取り扱われることになります。
  • この建設汚泥と土砂との判別について、建設廃棄物処理指針(環境省通知)には掘削工法ごとの判断フローが例示されていますが、具体的には県政令市の産業廃棄物所管部局のそれぞれの指導内容を確認する必要があります。
  • 建設廃棄物処理指針には、以下の4工法が例示されています。
  • ・泥水循環工法の一例(泥水シールド・リバースサーキュレーション工法等)
  • ・泥水非循環工法の一例(泥土圧シールド工法)
  • ・泥水非循環工法の一例(アースドリル工法等)
  • ・柱列式連続壁工法の一例(SMW工法等)
建設廃棄物処理指針、2.3(解説)、(7)建設汚泥の取扱い

参考として、次に代表的掘削工法について例示する。

泥水循環工法の一例(泥水シールド・リバースサーキュレーション工法等)(以下、略)泥水循環工法の一例(泥水シールド・リバースサーキュレーション工法等)(以下、略)

(2) 中間処理施設の設置

シールド工事などにおいて、一定の能力以上(10m3/日以上)の脱水施設(フイルタープレスなど)を設置する場合、および天日乾燥(100m3/日以上)を行う場合は、事前に産業廃棄物処理施設としての設置許可の申請が必要となります。

参照
申請手続等の詳細
(3) 建設汚泥の再生利用
  • 発生時点で建設汚泥と判断されたものは、現場内で脱水しても、セメント改良しても産業廃棄物の汚泥または汚泥処理物と見なされます。
  • 公共の土木工事等においては再生利用制度(再生利用指定制度(個別指定)、再生利用認定制度)が適用される場合があります。
  • このような再生利用を促進するために、環境省は平成17年に建設汚泥を処理(脱水、改良)したものを「建設汚泥処理物」とし「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」を通知しました。また、国土交通省は平成18年に直轄工事を対象に「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」、「建設汚泥処理土利用技術基準」、「建設汚泥の再生利用に関する実施要領」等を通達しています。また、これらを踏まえて同年、環境省は「建設汚泥の再生利用促進指定制度の運用における考え方について」を通知しています。
    http://www.env.go.jp/recycle/waste/nt_060704001.pdf
  • 「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」において国土交通省は以下のとおり通知しています。
  • ・自ら利用:都道府県等環境部局に事前に確認しておくこと。
  • ・再生利用指定制度(個別指定):都道府県等環境部局への事前相談に努めること。
  • これら国土交通省、環境省の通知内容、個別指定の事例の紹介、技術的な内容の解説等は、「建設汚泥再生利用マニュアル」(独)土木研究所、H.20)に取りまとめられています。 http://www.suishinkaigi.jp/publish/index.html

2. 伐採材・根株

  • 建設工事に伴って発生する伐採材、根株などは、産業廃棄物として取り扱わなければなりません。従って、場外に搬出する場合は、産業廃棄物の木くずとして委託処理しなければなりません。
  • ただし、発生した現場内で利用する場合については、森林保全のための自然還元、資材としての利用として認めると通知されています。
補足解説
工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた根株、伐採木及び末木枝条の取扱について、平成11年11月10日、衛産第81号

建設業に係る木くずであって工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた廃棄物は産業廃棄物であるが、森林内において建設工事等に伴い生ずる根株、伐採木及び末木枝条(以下「根株等」という。)は、生育していたその場で適切に自然還元利用することなどにより、森林を保全することが従来から行われてきたところである。

このような森林内の工事現場において、生活環境保全上支障のない形態で根株等を自然還元利用等することは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について」(昭和46年10月25日付け環整第45号厚生省環境衛生局環境整備課長通知(以下「課長通知」という。)の記第1の1でいう「自ら利用」に該当するものであり、当該根株等は廃棄物として規制する必要のないものである。

また、根株等を製材用材等のように一般的に有価で取引きされているものとして利用する場合は廃棄物に該当しないものである。なお、「自ら利用」に該当する場合、製材用材等として利用する場合については、別紙「根株等の利用について」に示すとおりであることから参考とされたい。

根株等の利用について

(1)自然還元利用等
工事現場内(当該工事箇所又は工事路線若しくはこれらに接続している林地の範囲内をいう。)での次の①、②に示すような林地への自然還元又は建設資材としての利用をいう。

  • ①自然還元利用について
    根株等が雨水等により下流へ流出するおそれがないように、安定した状態になるようにして自然還元利用する場合(必要に応じて、柵工や筋工等を適宜設置するものとする。)をいう。
  • ②建設資材としての利用について
    小規模な土留めとしての利用、水路工における浸食防止としての利用並びにチップ化することによる法面浸食防止材、マルチング及び作業歩道の舗装材として利用する場合等をいう。

(2)剥ぎ取り表土の利用
根株等が含まれたままの剥ぎ取り表土をそのまま盛土材として利用する場合、根株等は表土の一部ととらえられるため、廃棄物として規制する必要のないものである。

トラブル事例
質問コーナー
Q1 :
建設汚泥をセメント改良したため泥状を呈さなくなったのに、建設汚泥として取り扱わなければならないのはなぜですか?
A1 :
発生時点で建設汚泥と判断されたものは、現場内で脱水、セメント改良して泥状を呈さなくなっても汚泥処理物(「廃棄物を処分するために処理したもの」という種類の産業廃棄物)に該当します。このような中間処理後の汚泥処理物については、県政令市産業廃棄物所管部局が骨材等の商品または土砂に準じるものと判断しない限り、産業廃棄物として取り扱わなければなりません。
Q2 :
軟弱土をセメント改良した場合、建設汚泥とみなされる懸念はありますか?
A2 :
発生時点で軟弱土すなわち「土砂」と判断されている場合は、この土砂をセメント改良しても、「土砂」とみなすとした県政令市の指導事例があります。なお、港湾、河川等の浚渫土は廃棄物から除かれています。
適切な取り扱いに向けて
原稿協力

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