2014/02/26
さまざまな建設現場で発生する建設廃棄物。その処理や取扱いには、法令などによる規制やルールがあります。しかしながら、現場監理者の判断による対応が、法令違反となり処罰の対象となったケースも少なくありません。今回は建設廃棄物の中で、産業廃棄物の処理について、処理の仕方と罰則について紹介します。
【補足説明 】
① 処理の区分と処理基準
産業廃棄物の「処理」とは「分別」「保管」「収集」「運搬」「処分」に区分され、「処分」は「中間処理」と「最終処分」に区分されます。なお、処理する場合は、処理基準(保管基準、収集運搬基準、処分基準)が定められています。
② 中間処理
中間処理とは、廃棄物の減容化などを図るために脱水、焼却、破砕等どの「処分」を行うことです。
③ 最終処分
a) 安定型最終処分場
有害物や有機物が付着しておらず、雨水等にさらされても性状がほとんど変化しない「安定型産業廃棄物」のみを埋め立てる、素掘りの処分場です。
b)有機物を含む廃棄物を埋め立てるため、土中の微生物により分解し、浸出液、ガスなどが発生します。従って、浸出液が処分場外に漏れ出さないようにシート等により「しゃ水」し、この浸出液は水処理して場外に放流する処分場です。
産業廃棄物の処理において、各種基準に違反すると、法令により、以下のような罰則が適用される場合があります。
法 | 違反事項 | 行為者 | 法人 (両罰規定) |
---|---|---|---|
25条 | 廃棄物の投棄禁止違反(*) 廃棄物の焼却禁止違反(*) 廃棄物の投棄禁止違反・焼却禁止違反未遂(*) |
5年以下、 1000万円以下 |
3億円以下 |
委託基準違反(無許可業者への委託) 処理施設許可設置違反(建設汚泥の脱水施設など) |
1000万円以下 | ||
26条 | 委託基準違反(書面による委託契約と許可証の写しの添付、 処理料金の記載など政令に定める基準に違反) 再委託基準違反(政令に定める基準に違反) 投棄・焼却禁止違反目的の収集運搬(*) |
3年以下、 300万円以下 |
300万円以下 |
27条 の2 |
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の虚偽記載等違反 | 1年以下、 100万円以下 |
100万円以下 |
29条 | 保管の届出義務違反(建設工事における場外保管) | 6ヶ月以下、 50万円以下 |
50万円以下 |
30条 | 報告義務違反/帳簿備付け保存等義務違反 特別管理産業廃棄物管理責任者設置義務違反 技術管理者設置義務違反 |
30万円以下 | 30万円以下 |
33条 | 多量排出事業者の提出・報告義務違反 | 20万円以下 | — |
(*)の罰則については、下記【トラブル事例】を参照
以下の場合については、社会慣習上等やむを得ないものとして、焼却禁止違反から除かれています。
① 廃棄物の投棄禁止違反(廃棄物をみだりに捨てること)
② 廃棄物の焼却禁止違反(処理基準に従わずに廃棄物を焼却すること)
新規入場者教育などにおいて、工事現場の廃材、現場事務所の「ごみ」を絶対に焼却してはならないこと、廃材を土中に埋めてはならない、廃材を隠してはならないことを教育してください。
次回は、具体的な処理の方法について紹介します。
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