2014/04/24
前回は、建設業者が自ら処理(保管、運搬、処分)する場合の基準のうち、保管、運搬の基準を紹介しました。今回は処分の際の基準を紹介します。また、自ら処理しない場合、すなわち、運搬、処分を処理業者に委託する場合においても、委託基準を遵守しなければなりません。今回はこの委託処理についても紹介します。
下表の「産業廃棄物処理施設」を設置する場合は、都道府県政令市の設置許可が必要となります。
この都道府県政令市とは、産業廃棄物を所管する都道府県ならびに廃棄物処理法の政令に定める市のことです。
例えば、シールド工事などにおいて建設汚泥を脱水する場合、脱水設備の能力が10m3/日を超える場合(天日乾燥は100m3/日を超える場合)は、事前に設置許可を申請しなければなりません。
ただし、がれき類(コンクリート、アスコン)または木くず(伐採材、抜根など)の破砕については、破砕機の処理能力が5t/日を超える場合であっても、排出事業者(元請業者)が自ら移動式破砕機を設置する場合、設置許可は不要とされています。(令付則、政令493号)(建設廃棄物処理指針、8.2中間処理施設、表8-2、注4))
委託処理における主な実施事項は以下のとおりです。今回は(許可業者への委託)について解説します。
産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合は、都道府県政令市※より許可を得た収集運搬業者または処分業者にそれぞれ委託しなければなりません。また、産業廃棄物の種類などの委託内容が、許可内容に含まれていることを確認しなければなりません。
産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合は、法定事項を記載した書面により契約しなければなりません。また、委託契約書に処理業者の許可証の写し(コピー)を添付して、契約の終了の日から5年間保存しなければなりません。
産業廃棄物を搬出する際には廃棄物の種類ごとにマニフェストを交付しなければなりません。
処理業者の許可の種類
産業廃棄物処理業の許可の種類は以下のとおりです。
収集運搬業者についての主な確認事項
処分業者についての主な確認事項
収集運搬業の許可の合理化
法改正により、都道府県内で政令市の区域を越えて運搬する場合、都道府県の許可で足りることになりました。(ただし、積替保管のある場合は従来のとおりです。)
優良産廃処理業者認定制度
都道府県政令市から「優良認定業者」と認定された処理業者については、許可の更新期間が通常の5年間から7年間に延長されています。
① ビル解体工事で発生した石綿の処分を知り合いの建設業者(処理業の許可なし)に委託。山林への不法投棄が発覚し、委託者が委託基準違反で逮捕。
② 家屋解体工事で発生した廃棄物の処分を無許可の者(投棄禁止で逮捕済)に委託したとして、委託基準違反で逮捕
③ 家屋解体工事で発生した廃棄物の処分を無許可の者(許可の無いことを知りながら)に委託したとして、委託基準違反で逮捕
④ 店舗改修工事で発生した内装材を無許可の廃品回収業者(公園に投棄して逮捕)に委託したとして、委託基準違反で送検
第2回において罰則を紹介しましたが、無許可業者への委託は最も重い罰則に該当することになります。
法 | 違反事項 | 行為者 | 法人 (両罰規定) |
---|---|---|---|
25条 | 委託基準違反(無許可業者への委託) 処理施設許可設置違反(建設汚泥の脱水施設など) |
5年以下、 1000万円以下 |
1000万円以下 |
26条 | 委託基準違反(書面による委託契約と許可証の写しの添付、処理料金の記載など政令に定める基準に違反) 再委託基準違反(政令に定める基準に違反) |
3年以下、 300万円以下 |
300万円以下 |
27条の2 | 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の虚偽記載等違反 | 1年以下、 100万円以下 |
100万円以下 |
※産業廃棄物処理施設の設置許可申請を怠った場合も、重い罰則に該当することに留意してください。
無許可業者への委託を避けるためには、処理業者の許可証の確認が有効な対応策と考えられます。なお、「優良認定業者」と認定された処理業者については、当財団((公財)産業廃棄物処理事業振興財団)の産廃情報ネットで閲覧・検索できます。
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