2014/07/29
今回は委託処理における留意事項を紹介します。また、マニフェスト交付実績などの県政令市への報告について紹介します。
県外の処分施設に搬出する場合、県政令市によっては条例等により、県政令外からの産業廃棄物の搬入について事前協議制度を設けている場合があります。このような場合、処理業者の協力のもとに事前の届出などの手続きを実施しなければなりません。
もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を「専ら物」と言います。この「専ら物」を専門に取り扱っている(既存の)回収業者等については、産業廃棄物処理業の許可は不要とされています。また、このような業者に専ら物の処理を委託する場合は、マニフェストの交付は不要とされています。
処理業者(受託者)は、その処理を他人に再委託してはなりません。ただし、やむを得ず再委託を行う場合、受託者はあらかじめ受託者及び再受託者の名称、許可番号などの法定事項を記入した書面を用いて排出事業者の承諾を受けなければなりません。また、排出事業者はこの書面の写しを5年間保存しなければなりません。
排出事業者は、県政令市ごとの(工事現場における)マニフェストの交付実績(3月末までの年度実績)を「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」に取りまとめ、6月末までに報告しなければなりません。具体的には県政令市のホームページを参照してください。なお、電子マニフェストを用いた場合は、報告不要となります。
※県政令市ごとに工事現場のマニフェスト交付実績を集計して、報告することになります。
報告書への記載方法等につきては、各県政令市のホームページ等を参照してください。
県政令市ごとの(工事現場における)産業廃棄物の発生量の合計(年度実績)が1000トン以上(特別管理産業廃棄物は50トン以上)となる場合は、当該県政令市における多量排出事業者に該当することになります。
多量排出事業者は、以下の処理計画を策定し、前年度の実績と併せて6月末までに県政令市に報告しなければなりません。報告様式等の具体的な内容については、各県政令市のホームページを参照してください。
なお、廃棄物処理法の改正に伴い(平成23年4月施行)報告様式が改訂され、「優良認定業者」への委託量などを区分して報告することになりました。また、報告の不実施は罰則(過料:20万円以下)の対象となりました。
発生場所(工事現場)の都道府県の許可を持たない収集運搬業者への再委託であることを気づいていたが、これを容認したとして工事担当者が送検された。
再委託基準違反は以下の罰則に該当することになります。
法 | 違反事項 | 行為者 | 法人 (両罰規定) |
---|---|---|---|
25条 | 委託基準違反(無許可業者への委託) 処理施設許可設置違反(建設汚泥の脱水施設など) |
5年以下、 1000万円以下 |
1000万円以下 |
26条 | 委託基準違反(書面による委託契約と許可証の写しの添付、処理料金の記載など政令に定める基準に違反) 再委託基準違反(政令に定める基準に違反) |
3年以下、 300万円以下 |
300万円以下 |
27条 の2 |
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の虚偽記載等違反 | 1年以下、 100万円以下 |
100万円以下 |
処理業者は再委託を行う場合、再委託先の業者の名称、許可番号などの法定事項を記載した書面により、排出事業者の承諾を得なければなりません。また、排出事業者はこの承諾願の写しを5年間保存しなければなりません。
なお、建設業界の対応事例としては、「(様式・記入例)建設廃棄物処理委託契約書((社)東京建設業協会、他)」に収集運搬の再委託承諾願を参考様式として掲載しています。(処分の様式は掲載していません。)また、この場合、再受託者の収集運搬業の許可証の写しなどの添付を求めています。
ただし、県政令市によっては、車両の故障などやむを得ない場合に限るなど、再委託について厳しい指導をしている場合があることに留意する必要があります。
・受託者:排出事業者(委託者)より収集運搬の委託を受けた収集運搬業者
・再受託者:受託者から再委託を受けた収集運搬業者
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