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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

基礎工事1)オールケーシング

微細砂層のオールケーシングでは
スライム処理に注意

2015/10/30

工事の概要とトラブルの内容

図1 杭の仕様と地盤の概要図1 杭の仕様と地盤の概要

岸部に橋梁を新設する工事で、オールケーシング工法による場所打ち杭を施工した。杭の仕様は杭径φ1.5mで杭長は32m、掘削深度は34.5mである。施工地盤は、地表より5mまで埋土で、それ以下は、支持層(砂:N≧50)に達するまでN値15~20程度の微細砂層になっていた(図1)。

オールケーシング工法では、掘削完了後の孔底処理(孔底に沈積した土砂や孔内水中の浮遊土砂(スライム)を除去する作業)を沈積バケットで行うのが一般的である。そして浮遊スライムの沈殿確認は、バケットに堆積したスライムの天端を、計測者が検尺テープ先端の重錘が着底する際の触感をもとに確認する。

当現場の1~2本目の杭では、30分でスライムの沈降がほぼ完了したものと判断し、孔底に設置していた沈積バケットを引上げてコンクリートの打設を行った。しかし3本目の杭で掘削完了30分後に沈積バケットを引き上げ、その後さらに30分を経過した時点で検尺テープにより確認したところ、多量のスライムが沈積していた。過去の経験からスライムの沈降時間は30分で充分だろうと安易に思い込んでしまった管理技術者の判断ミスであった。このスライムは水中サンドポンプを孔底に設置して泥水とともに孔外に排出した。

全杭の施工完了後、根切りして杭頭部の状態を調査した結果、1~2本目の杭の杭頭部のコンクリートは、計画した杭の余盛り高さよりさらに1m以上高くなっていた。さらに上部のコンクリートは浮遊物を巻き込んだ兆候が見受けられ、念のため余盛部以下の設計上必要な部分についてコア抜きにより強度を確認した結果、1本目の杭の一部で若干の強度不足(設計基準強度24N/mm2に対して22N/mm2)があった。

原因と対処方法

図2 スライム処理対策での施工順序図2 スライム処理対策での施工順序

1本目の杭に強度不足が生じた原因は、スライム除去が不充分で杭頭部のコンクリートにスライムを巻き込んだためである。この事例では、途中で異常に気付き、細粒分の多いスライムの早期沈降を図るために、4本目以降の杭について高分子凝集剤を用いた対策を実施した。スライム処理の施工順序としては、①掘削完了 ②高分子凝集剤の水溶液の作成と投入 ③ハンマーグラブによる撹拌 ④浮遊スライムの凝集沈降 ⑤水中サンドポンプによるスライムの孔外への排出除去 の順である(図2)。この際、ボイリング防止のため上部から清水を補給して水位を保持した。このようなスライム処理方法に要する時間は、約35分であった。

なお、1本目の杭については、杭頭部コンクリートの強度不足部を(設計強度を満足する高さまで)はつり取って、必要なかぶりを確保できるように型枠を設置してコンクリートを打設した。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

図3 オールケーシング工法の標準的孔底処理順序図3 オールケーシング工法の標準的孔底処理順序

水中掘削の対象土砂が比重の軽い微細砂の場合、ハンマーグラブからこぼれた微細砂中の細粒分が水中に浮遊し、時間の経過とともにゆっくり沈殿する。このため、沈積バケットの設置・引き上げによる短時間での処理では孔底処理が適切でない場合がある。

孔底処理が適切でない場合、本事例のように杭頭部にスライムを巻き込んで杭体が強度不足になったり、コンクリートの初期打設圧で上方に押し上げられず杭体と支持地盤の間にスライムが介在することで、杭の支持力に悪影響を及ぼすこともある。このため、孔底処理は適切かつ入念に行う必要がある。

試験杭(最初に施工する杭)施工時に、底さらい完了からスライムの沈積量がゼロもしくは著しく小さくなるまでの時間をしっかり確認しておき、沈積の待ち時間をその時間以上とすることが基本である(図3)。

さらにスライムの沈積待ちが長時間に及ぶ場合は、まれに本事例のように凝集剤を使用して短時間に確実にスライムを沈殿させて処理する方法もある。

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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