4)新工法
2014/01/29
透水性の高い砂・砂礫地盤などでは逸水によりソイルセメントの流動性が低下し、リブ付き鋼管の周辺に過剰な摩擦力が発生し、回転圧入ができなくなることがある。今回も上記のいわゆるジャーミング現象が発生し、杭が高止まりしたものと想定された。
上記の様な逸水によるソイルセメントの流動性低下の防止方法としては、セメントスラリーに増粘剤を添加し粘性を上げるなども考えられたが、本工事ではスラリープラントからの圧送距離が長くグラウトポンプによる圧送が困難になる恐れがあったため、セメントスラリーの注入量の増量と、鋼管の回転圧入による再掘削攪拌で対応することにした。
6本目以降の杭の施工においては、以下のように対策を行った。
上記の対策により以後の杭施工においては、鋼管を所定の設計深度まで沈設・定着することができた。
なお、高止まりした杭は全回転オールケーシング杭用のパワージャッキを搬入して鋼管を回収し、あらためて再施工により所定の位置に沈設を完了した。
透水性の高い砂や砂礫地盤等では、セメントスラリーの逸水による鋼管の高止まりが起こることがある。一般的に透水係数が10-4m/sec程度より大きい透水係数を持つ地盤では逸水を起こしやすいといわれている。最近では、シラス地盤でもセメントスラリーの逸水の事例が報告されている。
事前の土質調査結果を十分に把握して、早期に適切な対応ができるようにしておくことが重要である。圧送能力の高いグラウトポンプを準備して増粘剤の添加によりセメントスラリーの粘性を高くするという対策も考えられるので、手配可能な機材やコスト等に配慮して最善の方法が選択できるように留意すべきである。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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