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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

基礎工事4)新工法

ジャミング現象による鋼管ソイルセメント杭
の高止まり

2019/01/30

工事の概要とトラブルの内容

架橋の基礎工事において、鋼管ソイルセメント杭(後沈設方式)を施工した。杭径はφ1400mm、鋼管径φ1200mm、杭長17.3m(鋼管長16.6m)である。施工地盤は、支持層(砂層:N≧50)に達するまでは地表面からシルト層、砂層、粘性土層となっていた(図-1)。
本事例は、1橋脚あたり杭8本の橋脚基礎であり、図-2に示す5本目の杭の施工時に中間層で鋼管の高止まりが発生したものである。当該杭でφ1400mmのソイルセメント柱の造成を行った後、φ1200mmの鋼管の沈設を開始したが、回転圧入による沈設中に抵抗が大きくなり、GL-14m付近の砂層中で沈設困難となった(図-3)。

  • 図-1 土質柱状図および杭仕様

    図-1 土質柱状図および杭仕様

  • 図-2 橋脚基礎の平面図と杭の施工順序

    図-2 橋脚基礎の平面図と杭の施工順序

図-3 トラブルの発生状況図-3 トラブルの発生状況

原因と対処方法

透水性の高い砂質地盤やしらす地盤では、逸水によりソイルセメントの流動性が低下して、リブ付き鋼管(鋼管ソイルセメント杭に用いられる突起付き鋼管)との摩擦力が過大になり、鋼管の回転圧入ができなくなる(いわゆるジャミング現象がおこる)ことがある1)。今回は、GL-12~14m付近の砂層において、逸水により上記のジャミング現象が発生し、杭が高止まりしたものと想定された。

上記の様な逸水によるソイルセメントの流動性低下の防止対策として、実績の多い「セメントミルクの配合変更」を採用することとした。具体的には、セメントミルクに添加する増粘剤や遅延剤の量を増やして粘性をより高め、ソイルセメント改良体からの逸水を確実に防止するものである。加えて、改良土1m3当たりのセメントミルクの注入量を増やすことでソイルセメントの流動性を確保して、ジャミング現象の防止を図った。

トラブルが発生した杭については、ソイルセメントの硬化時間内であったので、鋼管を引き抜いて表-1に示すベントナイトを入れたセメントミルクの変更配合で、改めてソイルセメント柱を造成することとした。ベントナイトの用途は、増粘剤としてのものである。施工にあたっては、GL-9~15m付近に分布する砂地盤の範囲について、掘削撹拌ヘッドを上下させる反復動作を行って、反復動作時の抵抗(攪拌時の電流値)が反復開始前の抵抗値に比べて低下していることを調べ、ソイルセメントの流動性の向上を確認した。

上記によりソイルセメント柱を再造成した後に、鋼管を再沈設したが、ジャミング現象が発生することは無く、所定の位置に沈設を完了することができた。また、残りの3本の杭についても同一の方法で施工を行った結果、沈設困難となることはなく無事に施工を完了した。

表-1 セメントミルクの変更配合 表-1 セメントミルクの変更配合

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

透水性の高い砂や砂礫地盤、シラス地盤等では、セメントスラリーの逸水によって鋼管の高止まりが起こることがある。一般的に透水係数が10-4m/sec程度より大きい透水係数を持つ地盤では逸水を起こしやすいといわれているので注意が必要である。

また、施工時の他の高止まり防止対策としては、
①ソイルセメントの天端液面の変化に注意しながら慎重に掘削攪拌を行い、(ソイルセメントの天端液面が下がる)逸水層を見極めるとともに、逸水層での掘削攪拌時および掘削攪拌ヘッド引き上げ時には液面低下が止まるまでセメントミルクを注入する。
②リブ付鋼管の先端にソイルセメント練返し用の治具(図-4)を取り付け、逸水層に到達する少し前段階から鋼管を回転圧入する。これにより、(逸水層での)逸水によりソイルセメントの流動性が低下した場合でも、練返し用治具による攪拌効果で流動性が改善されるため鋼管の沈設が可能となる。
等が考えられる。

図-4 練返し用治具図-4 練返し用治具

参考文献

1) 鋼管ソイルセメント杭工法施工管理要領 平成29年3月 一般財団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会 pp.63

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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