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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

基礎工事4)新工法

砂礫層における鋼管ソイルセメント杭の掘削不能

2019/04/25

工事の概要とトラブルの内容

路の橋梁基礎工事で、鋼管ソイルセメント杭(後沈設方式)を施工した。杭の仕様はφ1400mm、鋼管径φ1200mm、L=13.5m(掘削長:16.2m)である。施工地盤は、支持層(固結砂:換算N値110)に達するまでは、上部から埋土層、シルト層と砂層の互層、GL-9.5mから砂礫層となっていた。地表面付近の地下水位は杭の施工基面-2.5mであった(図-1)。

1本目の杭の掘削攪拌において、GL-10.5m付近から掘削攪拌用オーガの電流値(回転トルク)が上昇するとともに、掘削速度の著しい低下がみられた。さらに掘削をすすめたところ、GL-12.5m付近で掘削不能となった。掘削攪拌ヘッドを引き上げて確認したところ、攪拌翼の曲がりが確認された。

そこで、砂礫層中の大径の礫により掘削ができなくなったものと考え、鋼管ソイルセメント杭打ち機にロックオーガー用ヘッドおよびスクリューを装着し同位置でプレボーリングを試みたが、同様にGL-12.5m付近で施工不能となった。プレボーリングは砂礫層をロックオーガー用ヘッドで事前に掘削しておくことで、鋼管ソイルセメント杭のヘッドによる掘削攪拌を可能にするためである。

図-1 土質柱状図および杭の仕様図-1 土質柱状図および杭の仕様

原因と対処方法

写真-1 除去した転石(粒径約500mm)写真-1 除去した転石(粒径約500mm)

事前のボーリングデータでは、GL-9.5m以深の砂礫層で最大粒径がφ50mmであったため、施工が可能と判断していた。通常の想定では砂礫層に存在する礫の最大粒径はボーリングデータの3倍の150mm程度と考えていたためである。しかし、砂礫層に想定外の巨石(転石)が介在していることが原因である可能性が高いものと考えられた。

そこで、GL-9.5mから-14mまでの砂礫層の巨石を除去することとした。施工方法としては、巨石等の確実な除去が可能で施工性にも優れている全回転式オールケーシング掘削機を用いることとした。掘削は径φ1400mmのケーシングを回転させながら圧入し、ハンマーグラブでつかみ上げることにより巨石の除去を行った(写真-1)。

掘削土砂は、巨石を取り除いてから置換(ケーシング内の埋戻し)土砂として使用した。巨石除去置換後は、標準的な施工方法で鋼管ソイルセメント杭の施工を問題なく行うことができた。残りの全杭についても、砂礫層の巨石を事前に除去することで、鋼管ソイルセメント杭の施工を完了した。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

土質柱状図で礫質土層が出現する地盤において、存在する礫径は、ボーリング調査時の最大粒径の3倍程度を見込むことが一般的である。しかしながら、礫等の混入率が低い場合や混入のばらつきがみられる場合は、柱状図に反映されにくく、予想以上の径を有する(いわゆる)転石が出現し、トラブルになることがある。現場が丘陵部、扇状地や河川近傍にある場合は特に注意が必要であり、事前に当該地区の過去の施工事例を調査したり追加ボーリングを行うことで、出現する礫径をできるだけ正しく予想することが重要である。

鋼管ソイルセメント杭は、ソイルセメントが固化しはじめると掘削攪拌ヘッド・ロッドや鋼管を引抜くことが困難になるため、掘削攪拌や鋼管沈設が不能になった場合は迅速な判断が求められる。今回の工事は、杭の施工方法が「後沈設方式」であったので、掘削不能のトラブル発生時の対策も行い易かったが、「同時沈設方式」では鋼管と掘削攪拌ヘッド・ロッドの両方の引き抜きが必要となり、後沈設方式に比べて対応がより難しくなる。

掘削・沈設方式の選定時に配慮するとともに、トラブルになった場合の判断基準を事前に定めておき、迅速に対応することが重要である1)

工事実施までに余裕が見込める場合は、事前に工法変更したほうが経済的になる場合もあるので、留意しておく。

参考文献

1) 鋼管ソイルセメント杭工法施工管理要領 平成29年3月 一般財団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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