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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

コンクリート工事打設中(コンクリートの特性とクラック)

高流動コンクリートのポンプ圧送時に
輸送管が破裂

2018/03/29

工事の概要とトラブルの内容

該工事はフィルダムを建設する工事であった。写真-1に示すように、地質を調査するためのトンネル(調査横坑)を、高流動コンクリートで閉塞する工種において、ポンプ圧送中に輸送管が破裂した。

トラブルが発生したのは10月であり、その日は水平換算長さ150m(=水平距離100m+5×鉛直距離10m)、輸送管径5インチの配管での施工であった。先送りモルタル0.5m3を圧送後に高流動コンクリートの圧送を開始したが、圧送開始直後コンクリートが吐出しなかったため、圧送圧力を昇圧したところ口元より約30mの位置で輸送管が破裂した。コンクリートポンプはピストン式を使用しており、輸送管が破裂した時の吐出力は6.7N/mm2であった。この輸送管の耐圧力は12N/mm2であることから、その半分以下の圧力で破裂したことになる。

使用した高流動コンクリートは、写真-2に示すように高炉セメントB種450kg/m3の粉体系であり、コンクリートプラントから現場までの運搬時間は約2時間であった。なお、コンクリートの試験練りの段階では、練混ぜ3時間経過後まではスランプフローなどのフレッシュ性状に変化が認められなかったことから、2時間程度の運搬は施工上特に問題ないものと判断し、発注者からの承認を得て施工計画を立案した。

写真-1 高流動コンクリートによるトンネル閉塞の施工状況

写真-1 高流動コンクリートによるトンネル閉塞の施工状況

写真-2 スランプフロー600mm

写真-2 スランプフロー600mm

原因と対処方法

輸送管が破裂した原因として考えられた要因は、以下のとおりであった。

(1)配合に関する原因
コンクリート受入れ検査の結果を確認したところ、スランプフローは615mmであり管理基準の550~700mmの範囲内にあった。しかし、空気量は8%であり、管理基準の4.5±1.5%を大きく超えていたにも係わらず打込みを行ったことが分かった。このことより、所定量より空気量が多かったため、ピストンの圧力によりコンクリートが圧縮されて、圧送するのに必要な圧力が通常より高くなったことが考えられた。また、空気量が多くなることで、高流動コンクリートの材料分離抵抗性が低下して、曲り管などの箇所で材料分離が生じて閉塞が生じた可能性も考えられた。

(2)輸送管に関する原因
輸送管の耐圧力の半分以下で破裂していることから、輸送管の肉厚が薄くなっており、強度が低下していた可能性が考えられた。すなわち、古い輸送管を使用していたため、過去のコンクリート圧送による摩耗によって管の肉厚が薄くなっていたのではないかと考えられた。

(3) 圧送方法に関する原因
工事関係者への聞き取り調査の結果、ポンプ圧送開始時に、ピストン回転数,ストローク長を急激に上げたために、記録としては残っていないが、瞬間的に圧力が高くなった可能性があることが分かった。一般に、圧送開始時は、低吐出量で正常に送れることを確認してから、ピストン回転数、ストローク長を上げるのが良い。特に、高流動コンクリートの場合、単位粉体量が多いため普通コンクリートに比較して管内圧力損失が大きくなる。高流動コンクリートは、普通コンクリートよりも流動性が良いため、圧送抵抗も小さいと誤解されがちであるが、このような配慮が必要である。今回の場合、オペレータの経験が浅く、認識が不足していたことが考えられた。

輸送管の破裂に対して上記のような原因が考えられたため、対策として下記のようなことを行った結果、その後はトラブルもなく施工を行うことができた。

(1)高流動コンクリートの製造と管理方法の改善
高流動コンクリートは、運搬時間が長くなると品質管理が難しくなるため、運搬時間が短くなるよう市中プラントから現場内プラントに変更した。また、高流動コンクリートの圧送抵抗は、スランプフロー試験における500mmフロー到達時間(スランプコーン引き上げ開始時から広がりが最大と思われる直径が500mmに達した時までの時間)との相関性が良いことが知られている。そこで、受入れ検査にこの項目を追加して管理することとし、管理基準をスランプフロー550~700mm、500mmフロー到達時間3~15秒、空気量4.5±1.5%とした。

(2)輸送管の変更
輸送管を耐圧力12N/mm2のものから18N/mm2の新品に変更するとともに、輸送管継手もそれに応じて高圧用に変更した。また、配管の曲がり部分は揺動によって継手部が破損しないようしっかりと固定することにした。

(3) 圧送管理の改善
高流動コンクリートの管内圧力損失を正確に知るため、ポンプ圧送試験を実施して、以降の打設計画に反映することとした。当現場での最長圧送距離は、水平換算距離で250m(=水平距離100m+5×鉛直距離30m)となるため、測定した管内圧力損失よりポンプ機種を選定した。また、圧送運転を開始したら、コンクリートポンプ各部の作動に異常がないことを確認しながら低吐出量で運転し、徐々に吐出量を増加させて20m3/時間で運転するよう指導を行った。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項

高流動コンクリートによるポンプ施工上の主な留意点は下記のとおりである。

(1)高流動コンクリートの製造および品質管理

① プラントでの製造開始当初は、フレッシュ性状が変動し易いので、品質が安定するまではスランプフロー試験や空気量試験などの試験頻度を多くする。また、トラックアジテータ車1~3台目は全車試験を行った方が良い。

② フレッシュ性状は外気温の影響を大きく受けるので、適宜配合を修正する。通常は、高性能AE減水剤の添加量の調整あるいは種類の変更で対処する。

③ 運搬に伴ってフレッシュ性状が変化する場合が多々あるので、現場での荷下ろし時にも品質試験を行い、試験結果はプラントと共有し、品質の安定化に反映させる。

④ 上記のように、高流動コンクリートは通常のコンクリートより管理を厳密に行う必要があるため、高流動コンクリートに精通したプラントに発注するのが良い。

(2)高流動コンクリートのポンプ圧送管理

① 普通コンクリートより圧送抵抗が大きいので、能力に余裕のあるポンプ機種を選定する。圧力損失については、土木学会「コンクリートのポンプ施工指針 2012年版」ならびに土木学会「高流動コンクリートの配合設計・施工指針 2012年版」を参考にして算出し、圧送距離、圧送圧力に見合ったポンプ機種を選定する。

② 輸送管ならびにその接続用の継手(ジョイント)については、圧送圧力に応じたものを選定する。古い輸送管を使用する場合には、超音波肉厚計、厚み計などによって肉厚を計測し、摩耗限界肉厚を下回っていないことを確認する。

③ 打込み終了まで流動性を保持していることが重要なので、何らかのトラブルによりトラックアジテータ車の待機時間が長くなった場合には、スランプフロー試験などによってフレッシュ性状を確かめてから圧送を行う。

④ 圧送開始時は、コンクリートポンプ各部の作動に異常がないことを確認しながら低吐出量で運転し、徐々に吐出量を増加させて所定の吐出量で運転する。

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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