打設中(締固め)
2014/12/25
1月の良く晴れた朝、気温は3℃のなか、RCラーメン橋台のコンクリートを打込んだ。打込み箇所は図1の色塗りで示す4本の柱の上部と中床版である。
夜間に雪が降り、周囲の畑には1~2cm程度、うっすらと積もっていた。日の出とともに日向の雪は融け、合板で組み立てたスラブ型枠上には雪は無かった。メタルフォームで組み立てた柱のコンクリート打継ぎ部に、うっすらと雪が積もっているのが見えたが、現場監督は、「コンクリートは硬化に伴い発熱する。これくらいの雪ならコンクリートの温度で融ける。」と判断し、何もせずにコンクリートを打込んだ。
1週間後、柱の型枠をはずすと、柱の打継ぎ部がすかすかの巣になっていた。(図2)
原因は「雪は生コンに融ける。」と判断した甘さである。20℃近い水和熱が期待できるのは半日くらい経過してからであり、充填直後のコンクリートでは温度上昇は期待できない。まして、バイブレータを用いることで、コンクリートと雪を混練できると考えるのはまったく違っている。参考までにコンクリートの材令と断熱温度上昇量の関係を図3に示す。
対処方法は、ウォータージェットにより弱いコンクリートをはつり出し、その跡をポリマー系のセメントモルタルで充填し、表面は10cmの幅にセメントモルタルで左官仕上げを行った(図4)。
反省会を開き、冬季のコンクリート打込みに対し、以下の作業手順を取り決めた。①天気予報にかかわらず、コンクリート打込みの前日は、柱の頂部をブルーシートで覆う。②水洗した残り水が凍結しないように前日から柱の打継ぎ部はアイランプで暖めておく。
当然のことながら、打込み前には打継ぎ目を点検し、雪が残っていたり洗浄水が凍っていたら、バ-ナー等で強制的に融かしてから打込むことにした。鉄筋を組み立てた中に人が入れない場合、気温が上昇し、雪などが融けるまでコンクリートの打込み開始を遅らせることにしたことはいうまでもない。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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