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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

コンクリート工事打設後(養生)

丁寧な施工でも床版にひびわれ、鉄筋量の不足か

2016/06/28

工事の概要とトラブルの内容

長23m、幅員10m、1径間単純PCポストテンションT桁橋(5主桁)の竣工後20ヶ月目に実施された初回橋梁定期点検において、桁間床版に微細なひびわれが発見された。ひびわれは橋軸直角方向に発生しており、幅が0.05~0.10mm、発生間隔が30~50cm程度で、全ての桁間床版で確認された(写真1)。ただし、ひびわれからの漏水や遊離石灰は認められなかった。橋梁の断面形状、桁間床版の構造詳細は、図1、図2のとおりである。

また、使用材料を下記に示した。
 ・コンクリートの規格:30-8-20-N
 ・鉄筋       :SD296A(配筋は図2のとおり)
 ・横締めPC鋼材   :1S21.8@600mm

写真1 ひびわれ発生状況(チョークにて上書き)写真1 ひびわれ発生状況(チョークにて上書き)
  • 図1 T桁橋の断面形状図1 T桁橋の断面形状
  • 図2 桁間床版の配筋図2 桁間床版の配筋

工事記録によれば、施工時期は11月下旬、コンクリート打込み後は保湿・保温性のある養生マットを用いた湿潤養生を1週間程度行なっている。また、桁間床版施工後3か月を経て行われた竣工検査の記録には、ひびわれの報告はなかった。

原因と対処方法

ひびわれの発生原因は、ひびわれのパターンならびに発生時期より、後打ちされた桁間コンクリートの乾燥収縮ひずみが、先行して施工された主桁による拘束を受け生じたひびわれと判断された。また、ひびわれの発生間隔が狭かったことから、これに呼応してひびわれ幅が微細になったものと考えられる。一方、コンクリート打込み後から竣工検査時迄の乾燥収縮ひずみは、道路橋示方書1)を参考にすると終局時の60~70%程度と推定され、竣工検査後の乾燥収縮ひずみの増加がひびわれを生じさせたと推察された。ただし、ひびわれが微細だったことから、竣工検査時においてひびわれの発生を見落とした可能性もある。

なお、ひびわれ対策に関しては、今後、乾燥収縮が大幅に進むことはないと考えられること、またひびわれ幅が微小で漏水等も認められていないことから、5年後の定期点検までは経過観察することとしている。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

橋梁の定期点検が制度化され、現在、本格的な運用が行われているが、初回定期点検時(竣工後2年程度を目途に実施)に設計段階での配慮不足が原因となる初期ひびわれや過密配筋による充填不良などの損傷が時として認められる。

本事例においても、標準的なコンクリート配合により比較的丁寧な養生を実施したにもかかわらず、竣工後においてひびわれが発見された。橋軸直角方向にプレストレスが導入されるPC床版において、橋軸方向はRC構造として設計されるが、供用時の荷重により設定される鉄筋量は比較的少ない。このため、乾燥収縮ひずみなどが加わった場合にはひびわれ制御のための鉄筋量が不足しやすい。本事例では、最大ひびわれ幅は0.1mm以下であり耐久性確保のための許容値2)にほぼ収まっているが、類似の床版のなかには耐久性に影響を与える大きなひびわれを生じさせた例も多い。こうしたトラブルを未然に防止するためにも、設計時における施工初期段階での収縮ひずみを考慮したひびわれ照査が強く求められる。初期ひび割れの照査については文献3)が参考となる。本文献においても、鉄筋比が初期ひびわれに与える影響の大きさを示している。

一方、コンクリート配合上のひびわれ対策としては、膨張材、乾燥収縮低減剤などを用いた無収縮コンクリートの使用が考えられる。道路橋示方書4)においても、「無収縮性のコンクリートの使用が望ましい」としており併せて検討するとよい。

参考文献

1) 日本道路協会:道路橋示方書、共通編(H24年版)
2) 土木学会:コンクリート標準仕様書、設計編(2012制定)
3) 土木学会:コンクリート標準仕様書、設計編(2012制定)
4) 日本道路協会:道路橋示方書、コンクリート橋編(H24年版)

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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