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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

コンクリート工事打設後(養生)

セパ穴からの漏水

2016/09/29

工事の概要とトラブルの内容

水場の建設工事において地下構造物の一部ができあがり、砂質土による構造物周囲の埋戻しが始まった(図1)。雨天により埋戻し作業を中断していた時に、たまたま構造物内部の照明を整備していた係員から、側壁コンクリートの複数のセパ穴から漏水が発生しているとの報告があった。

  • 図1)工事の状況図1)工事の状況

原因と対処方法

漏水の原因は降った雨が埋戻し土にしみ込んだことで、セパレータが水みちとなっていることが明白だった。

そこで、バックホウにてコンクリートの壁面の埋戻し土を掘り出し、セパ穴の周囲を乾かしてからエポキシ系樹脂モルタルにて幅15cm×15cm、厚さ6mm程度被覆した。ついでに、用心のためコンクリートの打継ぎ部も同様に被覆した。

なお、セパレータを伝わって水が漏れた原因について職長や型枠大工と意見交換した結果、漏水の原因として以下のような意見がでた。

① セパレータとコンクリートが十分に付着していない。

② 型枠の脱型時にフォームタイを緩めたり、Pコーンを外す際にセパレータをとも回りさせている可能性がある。

③ Pコーン跡を埋めているセメントモルタルが収縮し隙間ができた。

また、専門家によれば、セパレータ下面はコンクリートの沈下とブリーディングに伴う空隙が残りやすく、これが漏水の原因になることがあるとのことである。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

地下鉄などの開削トンネルでは、コンクリート躯体の外防水が設計に織り込まれている(図2)が、上水や下水の構造物では外防水は一般的ではないため、セパ穴やコンクリート打継ぎ目からの漏水について事前に対策を検討しておく必要がある。

なお、上記原因①②の対策として、付着を充分に確保するために型枠の脱型までにコンクリート打ち込み後、4日間の養生を行うことにした。さらに、水みちができた場合の用心としてセパレータには市販のセパリングと呼ばれている水膨潤性のゴムリング(図3)を取り付けることにした。

また、原因③の対策として、Pコーン除去後の穴はプライマーとしてエポキシ樹脂を塗り、セメントモルタルで穴埋めを行う(図4)ことにした。

ブリーディングに関しては、特に多いとは言えないので、材料や配合設計の見直しは行っていない。

今回施工済みの地下構造物については外壁のセパ穴をエポキシ系樹脂モルタルでコーティングし、新しく構築する壁については上記の対策を施すことで、以後セパ穴からの漏水は発生しなくなった。なお、当初よりコンクリートの打継ぎ目は止水鉄板を設置しているため、ここからの漏水の発生は無い。

  • 図2)地下構造物の外防水の例図2)地下構造物の外防水の例
  • 図3)水膨潤性のゴムリング図3)水膨潤性のゴムリング
  • 図4)Pコーン跡の穴埋め処理図4)Pコーン跡の穴埋め処理
「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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