4)打設準備(型枠・鉄筋組立等)
2014/03/26
これらのミスは、ひとことで言えば測量ミスと確認ミスにつきるのだが、その背景にあるのが、型枠が組み立てあがった状態で墨出し作業を行ったという段取りの悪さである。ベニアにさん木が打たれ単管パイプが設置された状態で、マークを正しく付けるのは大変に面倒な作業であり、また、このような状態で行ったドリルによる穴あけ作業も、作業性が悪く、所定の位置に穴をあけられなかった可能性がある。
墨の外に出ている鉄筋は、その周囲のコンクリートをはつり、鉄筋はコンクリート表面から5cm程度の位置で切断した後、穴は樹脂モルタルでコーキングした。鉄筋の被りが取れていない鉄筋については、鉄筋の周囲のコンクリートをはつり、壁の内部から鉄筋を曲げることについて、発注者に相談のうえ対処した(図2)。
最後に、不足した鉄筋については、ケミカルアンカーを打つことにした。
確実に施工するには、型枠を外した後、墨出しを行い、ケミカルアンカーや差し筋アンカーなどで鉄筋を設置し、階段の鉄筋を組み立てることである。ところが、これらの方法はコストがかかるので、主要な鉄筋以外は差し筋によることが多い。
一方、型枠を組立てた状態での墨出しはこの例のように間違いがおきやすい。差し筋を確実にするために、型枠を組み立て後に監督員が墨出しをするのではなく、あらかじめ鉄筋の位置を示した図面を型枠工に渡し、穴を開けた型枠を設置することにすべきである。これにより、型枠を締め付ける単管パイプも穴を避けて設置できる。
なお、差し筋の位置は図3のAに示すように、正規の鉄筋被りより鉄筋の直径分、大きくすることで、ミスに対して安全側になる。具体的にはAの方法では重ね鉄筋は差し筋に対し重ねる位置を上下左右、自由に選択できるので、Bのように正規の鉄筋被り位置に差し筋を設置するより次のステップでの自由度が増す対応がとりやすくなる。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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