打設準備(型枠・鉄筋組立等)
2017/03/31
地下2階構造の下水道ポンプ所を構築する工事であり、山留として連続地中壁で囲われている。
地下2階の壁を構築後、一部に壁と連続地中壁の間の不要な空間を発生土で埋戻し、地下1階の下床(厚さ0.5m)コンクリートを打込むという工程である(図1、図2)。埋戻しには現場で発生した砂を使用した。埋戻し土の投入はクラムシェルで行い、まき出し厚1mごとにハンドローラで転圧した。埋戻し後、均しコンクリートを打込み、その上に地下一階の下床版鉄筋を組み立てた。
地下一階の下床版コンクリートを打ち込んだところ、あと1m3というところで、打ち込んだコンクリートが沈下し、鉄筋も引きずり込まれ、不ぞろいになってしまった(図3)。
陥没の原因は、埋戻した砂の転圧が不十分で地耐力が不足したため、下床版コンクリートの重量に耐えられず、埋戻し土全体が沈下したものと思われる。
ただちに鉄筋工を呼び、不ぞろいになった鉄筋を修正した。沈下したコンクリートが硬化し、それが新たに打ち足すコンクリートの自重に耐えることを期待して30分程度の時間を置いてから、慎重にコンクリートを打込み、仕上げることができた。夏期だったので、沈下した部分のコンクリートの硬化が早かったことで、トラブルが発生し、ポンプ車がコンクリート圧送を中断してから再開するまでの待ち時間も少なく、大掛かりな復旧工事にならなくて済んだ。
埋戻し土に対し、締固め密度の管理を要求されるわけではなかったが、1層30cm毎に転圧するとか、締固めにくい壁面の付近はタンパ等を用いて入念に締め固めるなど気を使うべきであった。
今後、連続地中壁の内側を埋め戻すといった事例は少ないと思うが、同様のケースとして、高架橋などの型枠支保工が地上から組み立てられる場合、柱や壁回りの埋戻し土に対して、道路の路床盛土と同程度の管理をすべきであると痛感した。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
土木遺産を訪ねて
2024/11/01
今回の歩いて学ぶ土木遺産は、JR男鹿駅から船川港にある選奨土木遺産「第一船入場防波堤」と「第二船入場防波堤」をめざす行程です。出発点となるJR男鹿駅(2018年新設)の駅舎は...
現場の失敗と対策
コラム
働き方改革
2024/11/01
もちろん、業務上必要な残業は、36協定の範囲内で命じることができます。そもそも36協定(時間外・休日労働に関する協定届)とは...
トピックス
2024/11/01
公益社団法人土木学会は、令和6年度の「選奨土木遺産」に認定した14件を発表しました。今回は、廃川敷に計画された「甲子園開発」の先駆けとして...
今月の一冊
2024/11/01
最先端のデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)、女性や高齢者、外国人などが活躍できる多様性の実現、働き方改革など、従来のイメージを変革するさまざまな...
Copyright © 2013 一般財団法人 建設業技術者センター All rights reserved.