
2)盛土・軟弱地盤
2015/08/27
積雪地域の山の中腹に沿って建設中の道路工事で発生したトラブルである。当該現場は堆積砂岩および泥岩の分布地域である。事情により先行する隣の工区の切土工事で発生した掘削土を、当該現場に移動して仮置きし、その後の工事において盛土材として利用することになった。掘削土は、冬季に工事が中断されるまで断続的に運び込まれ、高さ約4m、勾配1:1.5の盛土形状に整形して一冬を越した。3月下旬に気温の急上昇に伴う融雪と低気圧の通過による降雨(40mm/日)が重なり、沢地形の末端部にあたる盛土が幅約5mに渡って流出して(図1、写真1)、土砂が下流の沢にまで達した。
このトラブルの素因は、盛土流出箇所が沢地形の末端部にあたり、雨水や融雪水が集まりやすい場所になっていたためである。さらに仮置きであったことから、盛土自体が転圧されていないこと、本工事で行うような排水処理をしていなかったことにより、盛土内の水位が急激に上昇し、法尻部での浸透破壊が発生し、盛土が浸食され土砂が流出したものと考えられた。
まず流出土砂を撤去した後、図2に示すように山側の盛土のり尻にはトレンチを掘削して仮排水路とし、さらに沢部に集まった水を下流に流せるように仮設の集水管(可撓性ポリエチレン管φ300mm)を設置して流末に水を導いた。
その後、本工事開始までに日降水量40mmを超える降雨が数回あったものの、仮置き盛土の流出は認められず、無事に盛土本体工事に着手できた。
今回のような仮置きの盛土であっても、施工エリア外に土砂が流出すると濁水が水生動植物や農作物に被害を与えることもあり、また湖沼や河川の汚濁にもつながる恐れもあるため注意が必要である。
本設盛土の施工計画が立てられていれば、地形や地下水の影響を考慮した排水の設計が行われているので、そこで示された排水工の仕様などを参考にして仮排水計画を立てておけば今回のような失敗は未然に防ぐことができる。なお、上記2の対処方法は、この考え方に基づいたものであり、盛土のり尻排水溝の位置に素掘りのトレンチを、盛土内の暗渠排水の位置に仮排水管(集水管)を設置したものである(図2)。
この事例では、仮置きの盛土について事前検討の考え方を示した。同様のアプローチは仮設道路の建設や土取り場の管理にも当てはまり、地形や降雨、地下水などの影響を考慮した排水工を適宜設置することが肝要である。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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