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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

土工事3)地盤改良

深層混合処理工法の傾斜支持層への着底不足

2014/11/27

工事の概要とトラブルの内容

図1 地盤改良と盛土の設計断面図図1 地盤改良と盛土の設計断面図

路盛土工事(盛土高6m)において、軟弱地盤対策として低改良率の地盤改良を機械撹拌式深層混合処理工法(2軸のCDM工法)で施工した。支持層である風化粘板岩が傾斜しているため、設計改良長は8m~14mで計画されていた(図1)。地盤改良工を完了して盛土の施工を開始したところ、支持層が傾斜していた盛土のり面周辺で予想を超えた地盤変状(沈下および側方変位、最大50cm程度)が発生したため、盛土高3mで工事を中断し、部分的に盛土を撤去し改良地盤の状況について調査を行った。

原因と対処方法

図2 地盤改良体の支持層への根入れ状況図2 地盤改良体の支持層への根入れ状況

ア採取による改良体の強度確認およびボーリングによる支持層確認を実施したところ、改良体の品質(強度)には問題がなく、支持層への着底不足が原因であることがわかった(図2)。施工前の地盤調査による支持層の傾斜状況の把握が十分でなかったことに加え、深層混合処理工法の風化粘板岩への着底管理が不十分であったために起こった失敗であると考えられる。対策として、施工済みの改良体の隙間を埋める形で追加の地盤改良を施工した。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

まず、ボーリング調査や試験施工で得られた情報に基づいて、支持層の傾斜をコンター図などで適切に把握することが大切である。そして、地盤改良体の支持層への着底管理(オーガ電流値やトルク値など)を全本数について徹底することが重要である。たとえば、オーガ電流値による着底管理では、支持層への適切な根入れ長(図2(b))が確保されているかを確認する(図3)。また、2軸の施工機械の場合には、支持層が傾斜している方向に2本並べて施工すると一方の改良体が着底不足になる可能性が高いので、施工機械の向きにも注意する必要がある(図4)。なお、支持層が傾斜した地盤では、大きな地震外力等が作用すると傾斜面に沿った軟弱地盤の滑動が生じる可能性も考えられるので、地盤改良の仕様が適切であるかどうか設計面からもチェックすることが望ましい。

  • 図3 オーガ電流値の記録例(イメージ図)図3 オーガ電流値の記録例(イメージ図)
  • 図4 2軸の深層混合処理機で施工するときの注意点図4 2軸の深層混合処理機で施工するときの注意点
「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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