ConCom 掲示板

こんなときはどうしよう? 今さら聞けないこんなこと これって正しいの?

建設現場で直面する課題、日ごろの作業の疑問、資格試験の相談など。みなさんで盛り上げてください。

掲示板を見る

建設産業図書館の優待利用方法 ConCom会員限定での優待利用です

お役立ちリンク集 日々の作業で使える情報へ一発リンク

ご意見・お問い合わせ ConComへの要望・ご質問はコチラから

現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

土工事3)地盤改良

セメント系固化材による地盤改良が固まらない

2016/02/25

工事の概要とトラブルの内容

間部の造成工事において、軟弱地盤対策としてセメント系固化材による地盤改良を実施した。設計図書によると軟弱地盤は含水比の高い火山灰質粘性土で層厚は6m程度であった(図1)。構築物に必要な地耐力や施工機械のトラフィカビリティを確保するために、現地で採取した土を用いて室内配合試験を実施し固化材添加量を決めた(図2)。そして工事用道路の地盤改良を中層混合処理工法で施工した。ところが、地盤改良を終えた工事用道路を使用して造成工事に着手したところ、ダンプトラックが改良地盤に大きく沈みこんで走行できなくなるというトラブルが発生した。

地盤改良機にはバックホウをベースとしたトレンチャー式撹拌機(写真1)を用いた。固化材スラリーを地中に吐出しながら原位置土と鉛直方向に撹拌混合することで均質な改良体を造成することができる。ただ、オペレータにトラブル地点の施工状況を確認してみると、混合撹拌中の土の色が他の場所よりも黒っぽかったとのことであった。

図1 造成現場の概要(代表断面と土質柱状図)図1 造成現場の概要(代表断面と土質柱状図)

  • 図2 火山灰質粘性土の室内配合試験結果図2 火山灰質粘性土の室内配合試験結果
  • 写真1 トレンチャー式撹拌機写真1 トレンチャー式撹拌機

原因と対処方法

ラブル発生地点においてコーン貫入試験およびオールコアボーリング調査を実施したが、ダンプトラックが沈みこんだのは明らかに改良地盤の強度不足が原因であった。そこで、トラブル地点近傍の原地盤を3m程度バックホウで試掘したところ、軟弱層(茶褐色の火山灰質粘土)の中に設計断面図にはない高有機質土(黒色)が挟在していることが判明した(図3)。この高有機質土の混入が固化強度の低下を招いた原因であった。

対処方法としては、火山灰質粘性土に対して選定した「一般軟弱土用セメント系固化材」を「高有機質土用セメント系固化材」に変更して、当該箇所の地盤改良をやり直した(表1)。固化材の添加量は、試掘の際に採取した高有機質土を用いて室内配合試験を行って決定した(図4)。

さらに、施工ヤード全体に対しても地盤調査や試掘を追加して地層構成を詳細に把握し、地質や荷重条件等に応じてエリア分けした。そして固化材の種類や添加量は、必要に応じ室内配合試験も実施してエリア毎に決定した。

  • 図3 トラブルが生じた地盤の概要(イメージ断面)図3 トラブルが生じた地盤の概要(イメージ断面)
  • 図4 高有機質土の室内配合試験結果図4 高有機質土の室内配合試験結果

表1 セメント系固化材の種類

種 類 適 用
一般軟弱土用 汎用品
軟弱地盤(砂質土、粘性土、ヘドロ など)
特殊土用 六価クロム溶出抑制
高有機質土用 腐食物を多く含む土
発塵抑制型 散布、施工時の発塵抑制
出典:(一社)セメント協会ホームページ:http://www.jcassoc.or.jp/index.html

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

地盤改良を行う場合には地盤調査を充分に実施することが大切である。草木に覆われた山間部では事前調査の困難さ等を理由に、わずか数本のボーリング柱状図から広い工事範囲の地層断面図を作成していることもある。調査を疎かにして高有機質土等を見落とすと、今回の事例のようにかえって工事日数やコストがかかることも多い。また、土質に応じて多様なセメント系固化材(表1)が市販されているので、室内配合試験は数種類の固化材を用いて実施して、要求仕様を満足する範囲で経済的なものを選定すべきである(図4)。

なお、関東ローム等の火山灰質粘性土にはセメントの固化反応を阻害するアロフェンという粘土鉱物が多く含まれている。また、高有機質土は水分が多く、セメントの固化反応を阻害するフミン酸等が含まれている。セメント系固化材は、このように通常のセメントでは固化しにくい土の固化、あるいは六価クロム等の有害物質を封じ込めるために、セメントを母材として各種の有効成分を加えたものである。そのため、セメント系固化材は、普通ポルトランドセメントや高炉セメント等と比べ単価が高くても、少ない添加量で改良効果が得られて経済的となることが多い。また、通常のセメントや石灰の添加量をいたずらに増やしていくと、改良地盤に大きな収縮ひびわれが生じたり、周辺の地下水のpHが上昇したりする原因ともなりかねないので注意が必要である。

参考文献

1)セメント協会:セメント系固化材による 地盤改良マニュアル 第4版,2012.10

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

編集委員会の詳細を閉じる

この記事に関するご感想・ご質問をお寄せください。

  • 掲示板への投稿はコチラ ConCom掲示板
  • フォームでの投稿はコチラ ご感想・ご質問フォーム

新着記事

トピックス

2022/05/09

『生産性向上、働き方改革に向けた地域建設業の取り組み』に関する調査研究~生産性向上編~

コンコムを運営している一般財団法人 建設業技術者センターでは、良質な社会資本整備の前提条件である建設技術者の確保・育成に寄与することを目的に、建設技術者及び建設工事の施工管理に関する...

現場の失敗と対策

2022/05/09
基礎工事 2)その他の場所打杭 拡径アースドリル杭の夏季施工における杭頭断面欠損

今月の一冊

2022/05/09

『いいね!建設産業 本当の魅力』

建設産業の魅力を感じ、建設産業を志してもらいたいという思いからつくられた本書。第1章から第4章までの「技術・プロジェクト編」では、道路・橋・ダムといった今の暮らしを...

今月の一冊

2022/05/09

『土木技術者になるには』

ぺりかん社の「なるにはシリーズ」の157巻。著者の三上美絵氏は、大成建設株式会社の広報部出身のフリーライターで、土木学会の広報戦略会議の委員を務めるなど、土木の魅力を...