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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

土工事4)山留め他

山留め壁の予想外の大変形

2015/05/28

工事の概要とトラブルの内容

図1 山留め平面と事前ボーリング位置図1 山留め平面と事前ボーリング位置

水場関連施設の山留め掘削工事(最終掘削深さ15.0m、3段切梁)において、深さ約10mの2次掘削を終えた段階で山留め壁の1面だけ変形が大きくなった(図1、図2)。山留め壁の変位計測によると西側の山留め壁は2次掘削面より深い部分での変位増加も認められたため、2次掘削を終了した時点で工事を中断した(図3)。なお、SMW工法で施工したソイルセメント柱列壁(φ650mm、芯材H-500×200mm、450mmピッチ)は、約15m以深の未固結の泥岩層(土丹)に3m程度根入れする設計となっている(図3)。

  • 図2 2次掘削時の山留め変形概要(平面図)図2 2次掘削時の山留め変形概要(平面図)
  • 図3 山留め断面と山留め変位分布(2次掘削終了時)図3 山留め断面と山留め変位分布(2次掘削終了時)

原因と対処方法

図4 追加ボーリング位置と泥岩層上面の推定深度図4 追加ボーリング位置と泥岩層上面の推定深度

工事を中断して追加のボーリング調査(Bor.4~Bor.9)などを実施したところ、泥岩層に谷地形の傾斜があることが判明した(図4)。そのため、西側の土留め壁が全体的に根入れ不足となり、特に中央付近では土留め壁が泥岩層に届いておらず、このままでは安全に掘削工事を進めることができないと考えられた。

対策として以下の項目を実施した。なお、これらの対策工は事前に数値解析によって効果を確認するとともに、山留め計測管理を行って安全性を確認しながら施工することで無事に工事を完了することができた。

  1. ①切梁を補強してプレロード荷重を増やした。
  2. ②変形の大きくなった山留め壁付近は小分けにして段階的に掘削した。
  3. ③泥岩層が床付け面より深くなっている部分は、泥岩層まで根切りをしてラップルコンクリートを打ち込んで変形を押えた(図5、図6)。
  4. ④山留め壁が泥岩層に到達していない部分については、工事を中断した2次掘削面から山留め壁に接して直径1.5mの深礎杭を2本施工した。深礎杭は泥岩層への根入れ長50cmを確保し、床付け面以深の鋼製リング内にコンクリートを打ち込んだ(図5、図6)。
  • 図5 対策工の概要(平面図)図5 対策工の概要(平面図)
  • 図6 対策工の概要(断面図)図6 対策工の概要(断面図)

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

事前の地盤調査ボーリングの数量を多くすることは通常は難しいが、当該現場の地盤調査報告書をよく読んで地盤の成り立ちを把握しておくことが大切である。また、古い地形図、地盤図、周辺の工事記録などの情報も追加で調べて、支持層の傾斜や連続性を確認しておくことが望ましい。そして今回のような事例では、施工監理技術者は、ソイルセメント地中連続壁の施工を担当する専門業者と支持層への根入れの確認方法(掘削トルク値など)について事前に打ち合わせるとともに、施工管理データ(掘削トルクが急上昇する深さなど)を実際に確認することが重要である。

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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