2015/01/29
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
一般共通事項は工事全体に共通するもので、次回「仮設工事」以降の各項と併せて適用するものです。一般共通事項では、「工事と設計図書との照合及び確認」だけでなく、請負契約に係る事項も記載されています。
請負契約では、設計図書、見積書、完成日によって、発注者と施工者は契約しています。施工者は、設計図書に基づき品質管理、見積書に基づき原価管理、完成日を目指して工程管理を行います。無事故で工事を完成させることが安全管理です。工事監理者も品質管理だけでなく、設計変更などに伴うコストの増減管理、実施工程表による進捗確認、安全や環境への配慮の確認も必要な事項になります。
工事監理者は、設計図書だけでなく請負契約書も常に意識して、工事監理をしなければなりません。
設計図書間に相違がある場合の優先順位は、次のようになります。これにより難しい場合には工事監理者と施工者と協議をして、その変更等の経緯がわかるように協議結果を記録で残します。変更について後で「言った、言わない」というトラブルを防ぐために変更記録は重要です。
工事監理者は、承諾、指示、協議、検査及び立会いにより、「工事と設計図書との照合及び確認」を行います。建設工事では、コンクリート内の鉄筋のように、隠れてしまう部位があり、工事完成後にはその適否を判定することは困難になります。また、施工後に不具合を発見しても、その修復に対する費用や工期の延長による影響が大きいことが挙げられ、工事監理者の確認業務が重要になります。
※ 出典:建築工事監理指針「一般共通事項」の図を少しアレンジ
工程表は、工事の施工手順、所要時間等を示した表で、一般に次の2つの方式があります。
① バーチャート工程表
施工ごとに横線で施工の開始・終了の月日を示し、順序と期間を表したものです。
バーチャート工程表はシンプルでわかり易いメリットがありますが、作業間の相互関係が表されていないので、ある工種の工程が遅れた場合に、全体工程にどう影響するのかが解りません。工事監理者は、全体工程との関係を確認する必要があります。
② ネットワーク工程表
工程の計画に当たって、全体工事のなかで、各作業がどのような相互関係にあるかを「○」と「→」の組み合わせによって表したものです。
全体工程表(工期の最初から最後まで表らわしたもの)は、工期全体を俯瞰して施工の順序や期間を計画し、工事の羅針盤として監視するものです。完成間近になって時間が足りなくなれば、工事が粗雑になったり、十分な検査期間がとれなかったりします。全体工程表で最後に無理が生じないように計画します。
全体工程表は、月間工程表、週間工程表に詳細にしていきます。工事監理者は、全体工程表と短期工程表を比較しながら、工事の進捗状況を確認します。遅れているときには、最後に突貫工事にならないように、リカバリーの方法を確認します。
施工計画書には、仮設計画、安全・環境対策、作業工程、品質計画など、さまざまな角度から施工の進め方を表したものです。施工計画書には次の2種類があります。
① 総合施工計画書
工事現場の仮囲い、ゲート、分電盤、足場などの全体的な総合仮設図を作成し、主要な工事の施工方法、重点管理項目など、総合的な計画書です。
② 工種別施工計画書
総合施工計画書にもとづいて、工種ごとに施工計画を立てます。設計図書、現場条件と整合性をとって、適切なものを作成します。
設計図書は、そのままでは施工や部品の製作には不十分な場合があるので、工事の実施にあたっては施工図を作成します。各職人は施工図で工事を進めるので、施工図が設計図書と相違がないことを確認します。また、施工図で詳細を詰めていく段階で、仕様や寸法を決定したり、問題点を解決したりすることも必要です。
設計図書に定められた記録を確認します。設計図書と異なる材料、施工等については、すべて記録に残しておく必要があります。
※掲載されている図版の無断転載、複製及び頒布は禁止します。
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