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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第10回 コンクリート工事-2

2015/09/29

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

ンクリート打設は現場におけるマイルストーンとして、建物の躯体が形になっていく工程上の節目となるイベントです。昔はコンクリート打設後に、打設できたことを元請・下請みんなで喜び、労いを込めて祝杯を挙げました。

鉄筋コンクリート造では鉄筋とコンクリートが、構造の主要な品質を決めます。コンクリート強度が不足したり、コンクリートがきちんと充填されなかったりすれば、建物の安全上や機能上の欠陥につながります。

工事監理者は設計図書通りのコンクリートの品質を実現するために、コンクリートの配合計画、使用する材料、受入検査、圧縮強度検査などを確認します。また、コンクリート打設計画、コンクリートの打設管理状況、打設後の養生などの施工管理を確認します。

コンクリートにコールドジョイント、ジャンカなどのコンクリート充填上の欠陥があった場合には、欠陥の程度に応じた適切な処理をしていることを確認します。いいかげんな処置をして仕上げてしまえば、外見上は判らなくなりますが、長期的には劣化、剥離、漏水などの問題を引き起こします。工事監理者として使命観を持って、コンクリートの品質を確認しなければなりません。

4.コンクリート打設計画

① ポンプ車とミキサー車の配置計画

施工者はコンクリート打設計画を作成します。ポンプ車とミキサー車の配置、ミキサー車の待機場所、場所によってはミキサー車の搬入経路などを計画し、道路上に設置する場合には、警察署と協議し道路使用許可証の取得をしておきます。

ポンプ車とミキサー車の配置
  • ポンプ車にミキサー車を2台付けできると、時間当たりの打設量が大きくなります。階ごとのコンクリート量が多い場合には、時間当たりの打設量を増やす工夫が必要です。

    ポンプ車にミキサー車を2台付けできると、時間当たりの打設量が大きくなります。階ごとのコンクリート量が多い場合には、時間当たりの打設量を増やす工夫が必要です。

  • 道路上にポンプ車とミキサー車を設置する場合には、道路使用許可証が必要です。歩行者の安全のために、配管部分に段差ができないように、斜路を作ってガードマンを付けています。

    道路上にポンプ車とミキサー車を設置する場合には、道路使用許可証が必要です。歩行者の安全のために、配管部分に段差ができないように、斜路を作ってガードマンを付けています。

② コンクリート量の計画

施工者はコンクリート量を算出し、時間当たりのコンクリート打設量を決めて、ミキサー車を時間当たり何台出荷するか、コンクリート製造工場と打合せします。横軸に時間、縦軸にコンクリート量のグラフを作り、1日の打設量の計画をします。

コンクリート打設量180m3の計画例

コンクリート打設量180m<sup>3</sup>の計画例

予定通りコンクリート量の打設が進まないと、ミキサー車の待機時間が多くなり、「コンクリート練混ぜから打込み終了までの時間の限度」が守れなくなってしまいます。施工者は現場の打設状況を見ながら、コンクリート製造工場と随時連絡をとり、出荷量を調整します。

コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度

コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度

コンクリートは練混ぜたときから硬化が開始します。温度が高いと硬化する速度が速くなります。定められた時間内でコンクリートが打設できるように、コンクリート打設計画を立てますが、時間内に打設が難しい場合には、コンクリートの温度を低下させる、あるいは遅延剤でコンクリートの凝結を遅らせるなどの対策を施工者に立案させ、工事監理者は内容を確認し承諾します。

③ コンクリート打設手順、打設方法の計画

コンクリートをどこから打ち始めて、どのような順序でどのレベルまで打設するのか計画します。作業員の配置、必要な設備・工具類を決めます。仮設電気、仮設水道の準備も必要です。コンクリート打設の手配は完璧でなければなりません。

コンクリートを均す左官屋さんがいなければ、コンクリートを精度よく仕上げられません。バイブレータの手配を忘れていれば、締固めができません。施工者はチェックリストを作成し、1つひとつ確認して、漏れのない段取りをします。

コンクリート打設準備のチェックリストの例
  • コンクリート打設準備のチェックリストの例。
  • コンクリート打設準備のチェックリストの例

5.コンクリート打設管理

① 型枠内の清掃

打継部分にレイタンス(コンクリートの硬化中に表面に浮いてきた脆弱な泥膜層)がある場合は除去します。型枠内におがくずなどのゴミが入らないように管理し、入った場合には清掃します。清掃ができていないと、コンクリートの打継に隙間ができてしまったり、梁下などにゴミが出てきたりします。

型枠内におがくずが残っていた事例
  • 壁の打継部分におがくずがあった状態で打設し、隙間ができて打継部分から水が染み出しています。

    壁の打継部分におがくずがあった状態で打設し、隙間ができて打継部分から水が染み出しています。

  • スラブ上で型枠の加工を行い、梁底のおがくずを清掃せずにコンクリートを打設したために、梁下が汚れています。

    スラブ上で型枠の加工を行い、梁底のおがくずを清掃せずにコンクリートを打設したために、梁下が汚れています。

② 工事現場内運搬

コンクリートはポンプ車で圧送します。輸送管を配管し保持する場合には、輸送管の振動により、型枠、配筋及び既に打込まれたコンクリートに有害な影響を与えないようにします。

真夏のコンクリート打設では、コンクリートの流動性が悪化し、配管を詰まらせてしまうことがあります。また、型枠内でもジャンカができやすくなります。そのため過去に、圧送の際にコンクリートに水を加えてしまうことがありました。水を加えたコンクリートを「シャブコン」と呼び、コンクリート強度を低下させてしまうので、やってはいけないことです。

③ コンクリートの打込み

コンクリートの自由落下高さ及び水平流動距離は、コンクリートが分離しない範囲とします。コンクリートは落差が大きいと、鉄筋に当たって分離したり、骨材が先に落ちてジャンカができたりします。また、圧送の筒先ホースを移動せずに、コンクリートを横流しで打設すると、重い骨材と軽いセメントペーストが分離してジャンカができやすくなります。

コンクリートの打込みの注意点
  • 落差が大きいとコンクリートが鉄筋にあたったり、落下の衝撃などで分離してしまいます。

    落差が大きいとコンクリートが鉄筋にあたったり、
    落下の衝撃などで分離してしまいます。

  • バイブレータで横に流すと、コンクリートの材料の移動速度の違いで分離してしまいます。

    バイブレータで横に流すと、コンクリートの材料の
    移動速度の違いで分離してしまいます。

同一区画の打込み継続中における打ち重ね時間は、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間内とします。打ち重ね時間が大きいと、先に打設したコンクリートが硬化してしまい、打継面が一体とならず隙間ができてしまいます。それをコールドジョイントと呼んでいますが、程度によっては補修工事が必要になります。

コンクリートの打設
コンクリートの打設
④ 締固め

コンクリートは粘性を持っているので、型枠に流し込んだだけでは隅々まで入りません。マヨネーズを四角い枡に入れた時に、箸で突いたり振動を加えたりしなければ充填できないように、コンクリートも手を加えない限り充填しません。

柱や壁の下部は、木槌で叩いて充填します。上部はバイブレータ(コンクリート棒形振動機)を60㎝以下の間隔で挿入し、コンクリートの上面にペーストが浮くまで加振します。

⑤ コンクリートの上面の仕上げ
コンクリート打設完了
コンクリート打設完了

コンクリート打込み後の均しは、所定のレベルを保つように、長尺の均し定規を用いて平らに均します。コンクリート打設後にブリーディング水が上がってきて、コンクリートは沈下し、鉄筋上端側にひび割れを生じさせます。それを防止するために、コンクリートが凝結硬化を始める前に、表面をたたき締め平らに均します。

ブリーディング現象

ブリーディング現象

コンクリートが硬化するときにブリーディングという現象が生じ、余剰水が浮き上がりセメントや骨材は沈下します。鉄筋はコンクリートの均等な沈下をさまたげ、鉄筋の上部にクラック、下部にすきまを生じます。

6.コンクリート打設後の養生

硬化初期のコンクリートが、有害な振動や外力による悪影響を受けないようにします。寒冷期においては、コンクリートを寒気から保護し、打込み後5日間以上は、コンクリート温度を2°C以上に保つようにします。

打込み後のコンクリートは、透水性の小さいせき板による被覆、養生マット又は水密シートによる被覆、散水・噴霧、膜養生剤の塗布等により湿潤養生を行います。その期間は普通ポルトランドセメントの場合は5日以上とします。

「コンクリート工事の確認」ができる
チェックリストをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認項目があるのか、体系的に理解していただけるように、チェックリストをご提供します。

チェックリストは2つあります。1つは、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」です。もう1つは、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を参考に作成した「工事監理チェックリスト」です。しっかりとした確認をするために、これらのチェックリストをご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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