2016/01/28
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
コンクリートブロック工事は、設備・電気工事を施工した後のパイプスペースの壁、地下の外壁側に築造する二重壁、外構の塀などに使われています。工事監理者は、設計図書のブロックの仕様、配筋仕様に従って、設計図書通りに施工されていることを確認します。
壁をブロックで築造するときには、ブロックと周囲の壁に隙間がないように、モルタルを充填することが重要です。パイプスペースなど防火区画になっている箇所は、充填が不十分であれば建物の安全性に問題が生じます。官庁検査、消防検査で防火区画の隙間は指摘事項になりますので、工事監理者の監理項目の1つになります。
ALCパネル・押出成形セメント板工事は、工場製作のパネルを使った工事で、鉄骨造と組み合わせて建物に使われることが多く、賃貸マンション、事務所ビル、個人住宅などに活用されています。工事監理者は、設計図書のALCパネル・押出成形セメント板工事の仕様及びメーカー仕様に従って監理します。
ALCパネル・押出成形セメント板は工場で製作しますので、突発的な現場加工がないように施工図の検討が重要です。工事監理者は施工図の段階で、パネル割り、他の工事との取り合いなどが、検討されていることを確認します。
コンクリートブロック工事の監理フローの概要は、次のようになります。
ブロックはJIS製品であること、ブロックの仕様が設計図書通りであることを確認します。ブロックは強度の違いで、A種、B種、C種のブロックがあります。一般に塀や間仕切りにはC種が使われています。
種類 | 圧縮強度の区分記号 | 圧縮強度 | 全断面積に対する圧縮強度 |
---|---|---|---|
A種 | 08 | 8N/mm2以上 | 4N/mm2以上 |
B種 | 12 | 12N/mm2以上 | 6N/mm2以上 |
C種 | 16 | 16N/mm2以上 | 8N/mm2以上 |
※仕様はJIS A 5406によります。
ブロックの形状には「基本形ブロック」、横筋を流すための「横筋用ブロック」、端部に使う「隅用ブロック」などがあります。
コンクリートブロック工事は、設計図書の配筋仕様で配筋します。ブロックの割付図を作成し、躯体打設前に鉄筋の位置に差筋を入れておくか、躯体打設後にホールインアンカーを打って差筋とします。
ブロック工事は、モルタルやボードなどの仕上げがある場合は「塗り下仕上げ」、塀のようにブロックがそのまま表れる場合は「化粧仕上げ」と言います。化粧仕上げの場合は、ブロックの見栄えが重要になりますので、施工精度も高く、目地は目地コテで押さえて仕上げます。
水糸を張り、施工精度よくブロックを積みます。横筋、縦筋を配筋し、モルタルを充填します。
ALCパネル・押出成形セメント板工事の監理フローの概要は、次のようになります。
ALCパネル(軽量気泡コンクリートパネル)は軽量で、断熱性、耐火性、遮音性に優れ、鉄骨造の外壁、間仕切り、床、屋根などに使われています。また、RC造でも乾式工法として、間仕切りなどに使われています。パネルの種類は、パネル短辺小口に表示があり、JIS表示、製造所名、パネル寸法などを確認します。
項 目 | 特 徴 |
---|---|
軽い | 多孔質、軽量で水に浮かぶ。表面強度は低い。 |
耐熱性 | 熱伝導率はコンクリートの10分の1程度である。 |
耐火性 | 無機質で耐火性が高く、耐火構造部材として認定されている。 |
遮音性 | 多孔質なので音が伝わりにくい。 |
短工期 | 工場製作・加工し、現地組み立てなので短い工期で施工できる。工場製作期間の確認が必要である。 |
ALCパネルの施工状況が、設計図書に適合していることを確認します。外壁、床、屋根のパネルには表裏の方向があり、正しい方向に建て込みます。
ALCパネルの全面を固定するのではなく、ピンで一部を固定することで、地震などによる建物の動きに追従できるようになっています。このようなパネル取付け方法を、ロッキング工法といいます。
ロッキング工法は、建物の動きに追従させる工法です。
押出成形セメント板は、写真のように中空を有するパネルです。ALCパネルと比較し表面強度が強く非吸水性で、意匠的な「デザインパネル」や、あり足形状をもつ「タイル張付け用パネル」など、バリエーションもあります。
押出形成セメント板は、セメント、けい酸質原料及び繊維質原料を主原料として、中空を有する板状に押出成形し、オートクレーブ養生したパネルです。
押出成形セメント板の施工状況が設計図書に適合していることを確認します。
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