2016/05/30
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF 形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
マンションの木工事は、昔は大工が壁、床、天井などの主な内装工事をしていた時もありましたが、今ではほとんどなくなりました。壁や天井はLGS(軽量鉄骨)に、床は二重床工法やセルフレベリング(セメント系の材料を使った工法)などに置き換えられました。
木工事は窓枠、扉枠、カーテンボックス、上がり框、クロゼットや既製の家具の取付け、手すりや器具類の下地取付けなどがあります。窓枠や扉枠などは木材を加工して取付けるよりも、既製品を使うことが多くなりました。
マンションの場合は同じような仕様で多くの部屋を造っていきますので、監理者は早い段階で部屋の仕様が設計図書に合致していることを確認します。仕上工事になって問題が生じないように、木工事で仕様・精度や下地補強などを確認します。
木工事の監理フローの概要は、次のようになります。
木材は樹の種類により特徴が異なり、適材適所に使うことが大切です。「適材適所」という言葉も、木の性質を考慮して適切な箇所に使用するところからきています。たとえば、土台には腐りにくく耐久性のあるヒノキやクリを、内装材には木目が美しく香り豊かなスギを、重量を支える梁には粘り強いマツを、適材適所で使います。次に一部ですが、実際の木材の例で違いを見てください。
ヒノキは針葉樹で堅さは普通ですが耐久性があり、美しい光沢と香りを持つ比較的高価な木材です。
ヒバ(アスナロ)はヒノキ科に属し、湿気、腐蝕などに対する耐久性が強く、風呂用の道具やまな板にも使われています。
シナは広葉樹で表⾯は滑らかいが、曲げに強く、軽いという特徴を持ちます。シナベニヤという表面の美しいベニヤに活用されています。
タモは広葉樹で材質は堅く、上り框や家具などに使われています。
スギは針葉樹で材質は比較的柔らかく、加工しやすいので、古くから活用されてきました。木目の美しさと香りがよい木材です。
ベイスギ(レッドシダー)は針葉樹で、⽔に触れても腐りにくい強い耐久性があり、ウッドデッキなどに使われています。
丸太からどう切り出すかで、年輪の模様が変わります。上記のスギの写真は年輪と直角に切り出したもので「まさ目」といい、ベイスギの写真は「板目」といいます。
木材は天然材ゆえに経年変化により収縮し、ねじれやそりが生じることがあります。集成材は木材を接着剤で貼り合わせてつくり、節や割れの部分を取り除くことができ、狂いが少なく適切な強度の断面が作りだせます。集成材の表面に単板という薄い板を貼った、化粧ばり集成材も使われています。
丸太から切り出した木材は、年輪の外側を木表、内側を木裏といい、一般に木表側を仕上げ面に使います。鉋をかけた時に木表側の方がきれいに仕上がります。また、建具枠に使った場合に乾燥収縮した場合の反り方(木表側の収縮が大きい)を考えると、木表側を見える側に使った方が、建具の動きが悪くなるといった問題が生じにくくなります。
仕上げ材では木表側を見える側に使います。
二重床工事は、最初に壁際に二重床パネルをのせるために、際根太を施工します。二重床パネルの上にベニヤを張り、その上に仕上げ材を張りますので、仕上げ寸法から逆算してレベル墨を出します。
二重床業者が際根太の取付けを、レーザーレベルを使い、ドライバーで高さを調整しながら施工しています。
際根太の支持脚の種類とピッチを確認しています。キッチンの荷重がかかる箇所なので300ピッチになっています。
二重床のベースパネルをドライバーで高さを調整しながら施工しています。
ベースパネルをのせる支持脚は、レベルに合わせた長さのものを使い、ドライバーでレベルを微調整します。
ベースパネルを際根太にのせ、支持脚の高さをドライバーで調整して、全体を水平にしています。
ベースパネルが完了後、捨貼合板を全面に張っています。この上に仕上げ材を張ります。
捨貼合板を張ることで、ベースパネルを連結し、平滑な下地をつくります。
壁際は隙間を空けることで、床鳴り(床が動いたときに合板が壁とこすれて音が出ること)を防ぎます。
窓枠を木材で加工することもありますが、既製品を使うことが多くなりました。
窓枠は既製品の枠(白色)を使っています。黒いものは、養生用のコーナーアングルです。
キッチン周りはLGSで腰壁をつくり、その上にカウンターを施工しています。
設備機器や金物を取付けるために、下地の段階で合板を入れておきます。壁のプラスターボードを合板に変えてしまう例もあります。
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