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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第24回 塗装工事

2016/11/29

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF 形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

装工事は性能と出来栄えの現場監理があります。性能については、下地処理の状態、塗料の種類、塗り厚さ、塗り回数などがあります。塗り厚さについては、塗料の数量(塗り面積に対する塗布量から材料使用量を算出)を確認します。出来栄えについては、塗り厚さが薄いので、下地の小さな凹凸が仕上げ面に表れるため、下地処理が重要です。仕上った塗装面の色調、塗りむらなどのチェックもします。

塗装の種類や性能などの仕様は設計図書で定められていますが、一般に色は現場監理で色見本や塗り見本などで決定します。色見本などで客観的に確認しないと、後でイメージの違いとして問題になることがあります。特に面積が大きい箇所、屋外と屋内の違いなどによって、色のイメージが変わることがあるので、外壁などでは大きい見本を実際に使われる場所に並べて決定することも行われています。

塗装工事の監理フローの概要は、次のようになります。

塗装工事の監理フロー

塗装工事の監理フロー図

1.塗装工事

①材料の受入確認

材料の受入確認では、製品名、種類、品番、色番号、製造年月日、ホルムアルデヒドのグレード、数量、防火材料の指定のある場合は材料の認定番号などを確認します。

材料の受入確認
  • 材料の受入確認
  • 材料の受入確認
②下地処理

仕上げは下地処理の状態に左右されます。汚れは取り除き、下地の凹凸が仕上げに表れますので下地を平滑にします。下地がコンクリートやモルタルの場合には、乾燥状態を確認します。

  • ボードの下地処理①
    ボードの下地処理①

    塗装業者はボードの釘頭の凹みや小さな傷などを先に処理します。

  • ボードの下地処理②
    ボードの下地処理②

    最終的にきめ細かいパテで、小さな段差がないように、下地を平滑に仕上げます。

ドア枠の下地処理
  • ドア枠の下地処理
  • 研磨紙(サンドペーパー)は、番号が大きくなるほどきめ細かくなり、目的に応じて使い分けます。ドア枠を研磨紙により下地の汚れを取り除き、平滑にしています。

③下塗り

設計図書の塗装仕様で、塗り重ね回数が定められています。下塗りは仕上げ塗りと少し色を変えて、塗り重ねがわかるようにしています。

  • ドア枠の下塗り
    ドア枠の下塗り

    刷毛で1回目の塗装を行っています。

  • 扉の下塗り
    扉の下塗り

    ローラーで1回目の塗装を行っています。

④仕上げ塗り

塗装工程の仕上げ塗りをしています。

  • ドア枠の仕上げ塗り
    ドア枠の仕上げ塗り

    刷毛で仕上げ塗装を行っています。

  • 柱面の仕上げ塗り
    柱面の仕上げ塗り

    ローラーで仕上げ塗装を行っています。

2.吹付工事

吹付工事はコンプレッサーを使って塗装を壁面に吹き付けて塗装する工事です。吹付は塗料が飛散し、自動車等への付着、臭いの発生により近隣苦情につながることがあります。環境に配慮して、ローラーにより模様をつくる工法も活用されています。

  • ①材料の受入確認

    材料の受入確認では、製品名、種類、品番、色番号、製造年月日、ホルムアルデヒドのグレード、数量などを確認します。

  • ②下地作成

    下地の良否が仕上げの良否を決めるので、下地は精度よく平滑に仕上げておくことが重要です。

  • 材料の受入確認
    材料の受入確認

    搬入された塗装材料は、シーラー(下塗り材)、リシン吹付材、弾性吹付材です。

  • 下地作成
    下地作成

    コンクリートに左官が補修材を薄く塗って塗装下地をつくります。下地の形状がそのまま塗装仕上げに表れるので、躯体コンクリートを打設する段階の精度管理が重要になります。

③シーラー塗布

シーラーは、下地と吹付材を接着させる接着剤のような役割をします。

  • シーラー吹付
    シーラー吹付

    シーラーを吹付けています。

  • シーラー塗付
    シーラー塗付

    シーラーをローラーで塗布しています。

④パターン塗布

模様をつくるための材料を吹付けています。現場では「玉を吹く」という言い方もしています。模様が厚いほど、下地の小さな不陸などが隠れます。監理者は模様の形状や吹きむらがないことを確認します。

  • パターンの吹付①
  • パターンの吹付②
パターンの吹付
  • パターンを吹付けています。

  • スプレーガンから吹付材が噴き出している状況です。

パターンの塗布
  • パターンの塗布
  • パターンをローラーでつくっています。

⑤仕上げ塗装

吹付工事では、パターンの上に塗装を吹付けて仕上げにします。また、模様と塗料が一緒に吹付される仕様、模様と塗料をローラーで一度に仕上げる仕様もあります。監理者は見本通りの出来栄えになっているか、足場材との狭い部分、盤や樋の周りなどに吹きむらがないか確認します。

  • 仕上げ材の吹付
    仕上げ材の吹付

    リシン吹付では、リシン材と塗料を一緒に吹付しています。

  • 仕上げ材の塗布
    柱仕上げ材の塗布

    ローラーにより仕上げ材を塗布しています。
    近隣環境に配慮して、塗料を吹付せずにローラーで塗布する場合もあります。

「塗装工事の確認」ができるチェックリストをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認項目があるのか、体系的に理解していただけるように、チェックリストをご提供します。

チェックリストは2つあります。1つは、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」です。もう1つは、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を参考に作成した「工事監理チェックリスト」です。しっかりとした確認をするために、これらのチェックリストをご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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