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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第25回 内装工事-1

2016/12/26

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF 形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

装工事は工期の最終段階に位置づけられ、天井、壁、床が仕上げられていきます。多くの職人が各部屋に分散して作業を行い、外見上は見えませんが大勢の職人でごった返す状態になります。集合住宅の場合は下階から仕上げられて、上階に同じ一連の作業が移っていきます。階数が多い建物では、上階ではコンクリートを打設していて、下階では内装工事を行っています。

集合住宅はクロス(壁紙)、絨毯、ビニル床シート、フローリングなどで仕上げられますが、それらの出来栄えは竣工検査で確認することができます。監理者の役割としては、施工過程の下地の確認が重要になります。下地の補強、ボードの種類、断熱材の範囲と厚さなど、隠れてしまって竣工検査では確認できない部分は、施工中に確認します。

内装工事の監理フローの概要は、次のようになります。

内装工事の監理フロー

内装工事の監理フロー図

1.プラスターボード、その他のボード工事

ボードで最も使われているものは、普通プラスターボード(普通石膏ボード)で、図面ではPBの記号が使われます。特殊なボードを使用する場合には、その箇所の指示が重要になります。例えば、不燃プラスターボードを張る箇所に普通プラスターボードを張ってしまうと機能が満たされず安全が確保できません。不燃プラスターボードの範囲が確実に確保できるように範囲を指示します。

ボード類の受入確認
  • ボード類の受入確認

    ケイカル板(厚さ4㎜)は不燃材で熱の伝導を遮るので、ガスレンジ周りなどの部分的な施工に使います。

  • ボード類の受入確認

    不燃防水ボードは普通プラスターボードと形状、厚さが同じで、不燃材の指定のある箇所に使用します。

ボード張り後
  • ボード張り後
  • プラスターボードは石膏でできているので、堅い物が当たると傷が付きます。 出隅に物が当たって壊れないように、コーナーアングルで補強しています。

ボード張りのビスの確認
    ボード張りのビスの確認

    ボードを止めるビスのピッチを確認しています。ボード面よりもビス頭が出ていないことも確認します。

2.断熱、防露工事

断熱、防露工事の施工方法として、打込み工法、現場発泡工法、後張り工法を説明します。

①断熱材打込み工法
①-1材料の受入

材料の受入で、搬入された材料の仕様を確認します。

断熱材の受入確認
  • 断熱材の受入確認仕様通りに搬入されたことを確認します。
  • 断熱材の受入確認厚さを確認しています。厚さは1枚ではなく、複数枚を計り1枚を算出します。写真は5枚で70㎜なので、1枚は12㎜になります。
①-2型枠に断熱材の取付け

断熱材の施工を組み込んだ躯体図を描き、型枠大工に断熱材の取付けを指示します。

  • 壁に断熱材の打込み
    壁に断熱材の打込み断熱材の型枠取付けでは、型枠同士を緊結するセパレータ部分に断熱材打込み用金物を使用しています。
  • 天井に断熱材の打込み
    天井に断熱材の打込み断熱材を欠損させないように、天井インサートは断熱材用のものを使用しています。
①-3打込み後の状態

断熱材がコンクリート壁に打ち込まれた状態です。

型枠解体後の断熱材
  • 断熱材の受入確認断熱材が変形などなく、打込まれたことを確認しています。
  • 断熱材の受入確認断熱材の施工範囲を確認しています。
②断熱材現場発泡工法
②-1材料の受入

材料の受入で、搬入された材料の仕様を確認します。

材料の受入確認
  • 材料の受入確認
  • 材料の受入確認
②-2吹付前の下地の確認

断熱材の吹付前に、下地の状態、木レンガなどの施工状況を確認します。

吹付前の下地の確認
  • 吹付前の下地の確認
  • 断熱材を吹いた後で、コンクリートに金物などを取付けると断熱材に欠損が生じます。吹付前に木レンガなどを入れて、後工程の資材や金物類が取付けられるようにします。
②-3断熱材の吹付け

断熱材を吹付けた状態です。規定された厚さで吹付ができたか、厚さを検査します。

吹付後の状態
  • 吹付後の状態
吹付範囲と厚さの確認
吹付範囲と厚さの確認
  • 吹付範囲と厚さを確認しています。
  • 厚さの確認は、測定器の針を刺して深さを確認します。
吹付厚さの確認
  • 吹付厚さの確認
  • 色によって針の長さが定められた厚みピンがあり、断熱材に刺して検査したことが分かるようにしています。
③断熱材の後張り工法

断熱材を打込まずに、後で張り付ける工法です。

③-1材料の受入

材料の受入で、搬入された材料の仕様を確認します。

材料の受入確認
  • 材料の受入確認
  • 材料の受入確認
③-2断熱材の後張り施工

断熱材を打込まずに、躯体に後張りで施工しています。

断熱材の後張りの状態
  • 断熱材の後張りの状態断熱材のボードに接着剤を塗布しています。
  • 断熱材の後張りの状態断熱材を下地補修した躯体に貼り付けています。

「内装工事の確認」ができるチェックリストをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認項目があるのか、体系的に理解していただけるように、チェックリストをご提供します。

チェックリストは2つあります。1つは、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」です。もう1つは、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を参考に作成した「工事監理チェックリスト」です。しっかりとした確認をするために、これらのチェックリストをご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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