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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第27回 ユニット及びその他の工事、
排水工事、屋上緑化工事

2017/02/27

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF 形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

ニット工事は、製作工場等で製作された製品を現場で取付ける工事が、その他の工事は、階段滑り止め、鏡、表示(サイン)、ブラインド、カーテンなどの付帯的な工事が対象になっています。これらの工事は公共建築工事標準仕様書などで品質規格が定まっていないものも多く、監理者は製品の品質について、カタログや見本などで適切な製品であるか、維持管理がしやすいかなどを確認します。また、実際に設計図書で示された所定の位置に、正確に取付けていること、それらの製品に傷や汚れなどの欠陥がなく、出来ばえよく仕上っていることを確認することが重要になります。

排水工事は、適切な勾配がとれていないと、排水がスムーズに流れずに滞留してしまいます。建物から排水先へ排水勾配がとれるように、排水経路が計画されていなければなりません。監理者は着工時に敷地のベンチマーク(レベルの基準)を決めるときに、排水経路のレベル差をチェックしておく必要があります。また、監理者は竣工検査で、排水が正常に流れるかどうかを検査します。排水管の中に障害となる物が入っていたり、配管の接続間違えがあったりしないように、実際に水を流して検査をします。

屋上緑化工事は、集合住宅では販売価格のアップや維持管理の問題があるので、ほとんど行われていません。一方、集合住宅の外構工事では植栽を植えています。植栽工事は専門性があり、造園業者に任せていることが多く、監理者が具体的な指示をすることは難しいと考えられます。監理者は設計図書に従った樹種、寸法、本数などとともに、育成の状態を確認します。

ユニット及びその他の工事の監理フローの概要は、次のようになります。

ユニット及びその他の工事の監理フロー

ユニット及びその他の工事の監理フロー

1. ユニット工事「トイレブースの事例」

①部材の受入確認

搬入された部材が設計図書の仕様に適合していることを確認します。また、製作工場等の自主検査記録などで品質を確認します。

材料の受入確認
部材の受入確認

搬入された製品の製品名、品番、寸法、規格などを確認します。
トイレブースの構造金物は耐食性のあるものを使用し、脚部はステンレス製とします。

②施工

製作工場等の施工要領書、施工図などに従って、ユニット(トイレブース)を組み立てます。

  • 1. 巾木取付
  • 2. 壁レール取付
  • 1. 巾木取付
  • 2. 壁レール取付
  • 3. 間仕切壁取付
  • 3. 間仕切壁取付
  • 巾木、壁レール、間仕切壁を組立てています。この後は、頭つなぎ、扉を取付けます。ネジはステンレス製のものを使います。

2. ユニット工事「ユニットバスの事例」

①部材の受入確認

搬入された部材を、設計図書及び施工図などと照合し受入確認します。

材料の受入確認
部材の受入確認

搬入された製品の製品名、品番、寸法、規格などを確認します。 クレーンで搬入する場合には、傷がつかないように、専用の吊り冶具(吊るための道具)を使います。

②施工

ユニットバス工事は内装工事よりも前の作業です。基本墨からユニットバスの据付け位置を確認し、メーカーの施工要領に従って部材を組み立てます。

  • 1.据付け位置の確認
  • 1.据付け位置の確認
  • ユニットバス工事では、据え付け位置の確認が重要です。位置を間違えると内装工事が納まらず、大幅な手戻り作業になります。

  • 2.本体取付
  • 3.接着固定の確認
1.据付け位置の確認

接着固定が不十分だと、ガタツキなどの不具合の要因になります。

  • 4. 外枠建込
  • 5. ユニットバス施工完成
  • 4. 外枠建込
  • 5. ユニットバス施工完成

3. その他の工事

その他の工事は本工事に対する付帯的な工事で、その一例として階数表示、郵便受け、カーテン及びカーテンレール、ブラインドを示します。

  • 階数表示の例
    階数表示の例
  • 郵便受けの例
    郵便受けの例
  • カーテン及びカーテンレールの例
    カーテン及びカーテンレールの例
  • ブラインドの例
    ブラインドの例

4. 排水工事

排水工事の監理フローの概要は、次のようになります。

排水工事の監理フロー

排水工事の監理フロー

①排水経路

排水には、雨水、汚水、雑排水があります。排水先を調査し、排水計画を立てます。下水がある場合には汚水、雑排水を流せますが、下水がない場合は浄化槽の設置が必要になります。汚水、雑排水を川や用水路に流す場合には、放流基準を満たしていなければなりません。

排水経路の例

排水経路の例

②配管と排水桝

排水枡は配管と接合しやすい既製品が多く使われています。

2方向の配管をつなぐ枡

2方向の配管をつなぐ枡

3方向の配管をつなぐ枡

3方向の配管をつなぐ枡

  • バケットが組み込まれていて、沈殿物がたまったら、バケツのように引き上げることで、排水枡の沈殿物を清掃することができます。

雨水の排水経路と汚水の排水経路が識別できるように、排水枡の蓋に表示がされています。

  • 雨水枡
    雨水枡

    養生が傘のマークになっています。蓋には「うすい」と表示されています。

  • 汚水枡
    汚水枡

    蓋には「おすい」と表示されています。

下記の写真は、配管と枡が接続された状況です。

  • 排水枡と排水管の施工状況①
    排水枡と排水管の施工状況①
  • 排水枡と排水管の施工状況②
    排水枡と排水管の施工状況②

配管が沈下しないように、地山は極力荒らさずに掘削し、埋戻し土は締固めてから配管します。配管内に土などが入らないように、枡は養生をしておきます。

集合住宅の場合には、各部屋の排水が縦配管に流されて屋外に排水し、それぞれに排水枡が設置されるので、排水枡の数が多くなっています。

  • 1. 埋戻前の配管状況
    1. 埋戻前の配管状況
  • 2. 埋戻中の配管状況
    2. 埋戻中の配管状況
3. 埋戻後の配管状況

排水枡と排水管の施工状況①

排水量が多い場合には、大きな枡もあります。

配管が90度曲がった方向に進む枡
配管が90度曲がった方向に進む枡
配管が直進方向に進む枡
配管が直進方向に進む枡

コンクリートの二次製品を使った枡もあります。

  • コンクリート二次製品の排水枡の材料
    コンクリート二次製品の排水枡の材料

    二次製品を積み重ねて、枡の深さを調整します。

  • 排水枡の設置後
    排水枡の設置後

    格子の蓋になっていて、雨水などを集める集水桝です。

コンクリート製の円形のものです。マンホールに円形が多い理由は、蓋が内部に落下しないためです。
四角の開口の場合は、孔の対角寸法が蓋より大きいので、蓋が内部に落下する恐れがあります。

  • コンクリート二次製品の排水枡
  • 排水枡の内部

コンクリート二次製品の排水枡

③グレージング

グレージングは雨水などを集めて排水する設備です。

1. 排水溝の断面

1. 排水溝の断面

  • 2. 上部から見たグレージング
    2. 上部から見たグレージング
  • 3. 完成したグレージング
    3. 完成したグレージング

5. 植栽工事

植栽工事の監理フローの概要は、次のようになります。

樹木等の搬入
①樹木等の搬入

造園業者が植樹方法を考慮して、樹木等を搬入します。

樹木等の受入確認
  • 樹木等の受入確認
  • 樹木等の受入確認

植樹された樹木等は、形姿が良く、有害な傷がないことを確認します。

  • 植栽工事の例 1
    植栽工事の例 1
  • 植栽工事の例 2
    植栽工事の例 2
植栽工事の例 3

植栽工事の例 3

屋上緑化では土の深さがないので、屋上緑化システムとして植物の育成を維持しやすいような各構成層をつくっています。

  • 緑化構成層の一部
    緑化構成層の一部
  • 屋上緑化の例 1
    屋上緑化の例 1
屋上緑化の例 2

屋上緑化の例 2

「ユニット及びその他の工事、排水工事、屋上緑化工事の確認」ができるチェックリストをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認項目があるのか、体系的に理解していただけるように、チェックリストをご提供します。

チェックリストは2つあります。1つは、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」です。もう1つは、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を参考に作成した「工事監理チェックリスト」です。しっかりとした確認をするために、これらのチェックリストをご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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