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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第29回 電気設備工事-2

2017/04/27

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別の工事監理ガイドラインもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

築士が建物を設計し工事監理をしますが、建築技術の専門領域で建築士は、大きくは意匠系、構造系、設備系の3つの領域があります。監理者は工事監理で設計図書通りに現場が施工されていることを確認しますが、一般に杭の偏心や構造的な間違いなどについて、構造計算などの判断を要する場合には構造系の建築士と協議します。設備についても、特に専門的な判断が必要な場合には、設備系の建築士と協議します。大規模な集合住宅では、主となる意匠系の監理者と設備系の監理者が協力して工事監理をしています。

設備工事は、電気設備工事と機械設備工事(給排水衛生設備工事、空調換気設備工事など)の2つに分けられます。建築工事を統括する現場代理人がいますが、電気設備工事にも、電気設備工事会社の現場代理人が選任されて、電気設備工事全般を施工管理し、建築工事や他の専門工事との調整をしながら進めます。監理者は建築、電気設備、機械設備の現場代理人を集めて定例会議を開き、仕様の決定や変更事項への対応などを協議しながら工事監理をします。たとえば設備機器が変更になれば、建築工事の納まりが変わったり、電気の容量が変わったりすることがあります。建築工事、電気設備工事、機械設備工事はそれぞれに関連しているので、監理者は総合的な検討が重要になります。

監理者は電気設備工事では、施工計画・施工図、電気工事会社が行なう試験・検査の記録、実際の照明や機器の機能の有効性、盤・プレート類の取付け状態などを確認します。

6. LGS工事後の配線工事

内装工事では最初にLGS(軽量鉄骨)で下地を作成します。電気設備工事はLGS工事が終了後、ボード張り等でふさがれる前に、コンセントやスイッチなどのボックス付け及び配線を行います。

①墨出し

工事の進捗に合わせて適宜墨出しをします。コンセントやスイッチは床仕上レベルから定められた寸法になっていますので、コンクリートスラブのレベル墨から仕上寸法を出してボックスの位置を指示します。部屋によって仕上がりまでの寸法が異なれば位置が変わるので、電工が間違えないように現場に墨を出しておきます。下記の写真は照明の墨出しの例示です。

  • 照明の位置の墨出し(梁)
  • 照明の位置の墨出し(床)

照明の位置の墨出し(梁)/照明の位置の墨出し(床)

②ボックス付けと配線

LGSで間仕切りや天井の下地が作成されたら、ボックスの取付け及び配線を行います。固定金物はボックスの位置を左右に調整できるようになっています。

ボックスの取付け及び配線
  • ボックスの取付け及び配線

    耐燃性のあるPF配管を使っています。配管後に通線をしています。

  • ボックスの取付け及び配線

    電線(Fケーブル)を配線しています。

配線を固定するために、プレートや粘土を使っています。

  • 配線を緊結
    配線を緊結

    プレートを貼り付けて、電線を結束して固定しています。

  • 配線を粘土で固定
    配線を粘土で固定

    ウレタン吹付の配線周りの隙間をウレタン剤で塞ぎ、その後で粘土で固定しています。

天井のLGSを施工する前に、大部分の配線は終わっています。天井から間仕切りのLGSへ配線を伸ばし、コンセントやスイッチのボックスに配線されています。

天井LGS後の配線の状況
  • 天井LGS後の配線の状況

    天井のボックスは躯体からボルトで固定されています。照明用プレートが付く予定です。

  • 天井LGS後の配線の状況

    間仕切り部分で、配線を保護するため、黒い短い配管が使われています。

7.ボード張り後の穴あけ

LGS工事の次は、ボード張り工事です。ボードが張り終えたら、電工はボックス部分のボードをカットして、ボックスの形状に穴をあけます。大きすぎるとカバープレートからはみ出してしまい仕上げの欠陥になります。開口をあける振動でパテが割れないように、後工程の業者(クロス業者、塗装業者)がパテ処理をする前に穴をあけます。

ボードの開口あけ
  • ボードの開口あけ
  • ボードの開口あけ

小判型の穴は、小判カッターという電動工具を使って、ボードに穴をあけています。カッターやし引廻し(細長い鋸)よりも格段に速くあけることができます。

仕上工事をした後のボックスは、次のような状態です。

  • クロス仕上げのボックス
    クロス仕上げのボックス
  • タイル仕上げのボックス
    タイル仕上げのボックス

8.プレート付け

仕上げ工事が終わったら、プレートを付けます。受電後各部屋に電流を流す前に、すべてのスイッチ及びコンセントの配線の試験をして確認します。

  • スイッチのプレート付け
    スイッチのプレート付け

    ボックスにプレートを付けるための金物を付けたところです。

  • プレート付けの作業中
    プレート付けの作業中

    電工さんは腰袋が特徴で、すぐに電工と分かります。

  • 照明スイッチ
    照明スイッチ

    スイッチの並び順は、部屋のレイアウトに合わせます。

  • 照明スイッチとコンセント
    照明スイッチとコンセント

    スイッチとコンセントの高さは統一されています。この分譲マンションの仕様では、コンセントの高さが一般よりも少し高くなっています。

インターホンも器具付けをします。

  • インターホンの配線
  • インターホン

インターホンの配線/インターホン

9.盤工事

電気、通信など、目的ごとに盤が付けられます。

  • 建物の分電盤
    建物の分電盤
  • 建物の電話線盤
    建物の電話線盤
住宅ごとの分電盤

住宅ごとの分電盤

10.照明、火災報知設備等

分譲集合住宅の場合は、ダウンライトの照明器具はついていますが、居室の照明は取付けるためのプレートが付いています。プレートだけのところは、検査用の電灯を差し込んで点灯を確認します。

  • ダウンライトの開口
  • ダウンライト

ダウンライトの開口/ダウンライト

  • 照明用プレート
  • 検査用の電灯

照明用プレート/検査用の電灯

照明は分譲マンションの購入者が好みのものを買って付けます。照明用プレートの機能は検査用の電球で確認します。

火災報知設備(感知器)
  • 火災報知設備(感知器)
  • 感知器にはいくつかの種類がありますが、写真は煙により感知し、非常ベルを鳴らし、関係者に報知するものです。

「電気設備工事の確認」ができる工事監理ガイドラインをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認事項があるのか、体系的に理解し、しっかりと確認していただけるように、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」をご提供します。工事監理にご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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