2017/06/29
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別の工事監理ガイドラインもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
設備工事は大きく電気設備工事と機械設備工事に分けられます。機械設備工事には、給水工事、排水工事、空調工事、保温工事、ガス工事、消防設備工事、衛生器具工事などが含まれます。建築工事を統括する現場代理人がいますが、設備工事会社でも現場代理人が選任されて、設備工事全般を施工管理し、建築工事や他の専門工事との調整をしながら進めます。
監理者は建築、機械設備、電気設備の各現場代理人を集めて定例会議を開き、仕様の決定や変更事項への対応などを協議しながら工事監理をします。たとえば設備機器が変更になれば、建築工事の納まりが変わったり、電気の容量が変わったりすることがあります。建築工事、電気設備工事、機械設備工事は相互に関連しているので、監理者は総合的な検討が重要になります。
監理者は機械設備工事では、施工計画・施工図、設備工事会社が行なう試験・検査の記録、実際の設備機器の機能の有効性や設備機器の取付け状態などを確認します。
機械設備工事では、建物の躯体を貫通して管やダクトを施工します。躯体工事前に建築の意匠・構造、電気設備、機械設備の相互関係をチェックし、施工図で管やダクトの位置を決定します。躯体工事中には壁、梁、スラブにスリーブを入れて、欠損部分を構造的に補強しておくことが必要です。躯体工事完了後にコア抜き(機械でコンクリートに穴をあけること)をすれば、鉄筋を切断して問題になることもあります。特に梁の主筋を切断すれば、構造的に大問題になってしまいます。監理者は躯体工事前にスリーブ図と補強方法を確認しておくことが重要です。
次にスリーブの基準の例を示します。構造仕様によって基準が異なることもありますので、設計図書を参照してください。
スリーブ図からスリーブの径、長さ、数量を拾い出して加工します。
地中梁工事中のスリーブ入れです。この後、スラブの型枠と鉄筋を施工し、コンクリートを打設すると地下ピットになります。
土と接する外周部の壁は、漏水を防ぐために止水板を入れています。
次は外周部の配管回りの止水処理をしている例です。
ピットで配管する場合には、酸素欠乏による事故に注意します。
地上階の梁のスリーブ入れです。梁筋はスラブ型枠より上部で組立て、配筋後に梁型枠内に下げます。梁筋が梁型枠に納まった状態では、スリーブは入れられません。設備工は梁配筋後、梁型枠に鉄筋を下げる前にスリーブを入れます。
スラブのスリーブ入れです。大きな開口が必要な場合は箱を入れて、鉄筋で補強します。
壁のスリーブ入れです。換気スリーブと空調機の配管用のスリーブです。
スリーブ回りからの漏水がないように、外壁スリーブの周囲、床の排水管の貫通部分を塗布防水しています。これらは、施工者が自主的に行っているものです。
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