2013/10/21
建設廃棄物のうち、コンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊を除いた、建設汚泥、建設発生木材及び建設混合廃棄物等の排出量は、平成20年度の建設副産物実態調査では、1,260万tとなっており、建設廃棄物の約20%程度を占めています。
これらの品目は、コンクリートやアスファルト・コンクリートに較べるとリサイクル率が低く、建設廃棄物の最終処分量400万トンの70%にあたる280万tとなっています。
建設汚泥とは、建設工事に係わる掘削工事から生じる泥状の掘削物および泥水のうち「廃棄物処理法」に規定する産業廃棄物として取り扱われるもので、杭工事やシールドトンネル工事の掘削に伴って排出されるもののうち、含水率が高く粒子が微細な泥状のものです。泥状の状態とは、標準仕様のダンプトラックに山積みができず、また、その上を人が歩けない状態をいい、コーン指数がおおむね200kN/m²以下または、一軸圧縮強度がおおむね50 kN/m²以下となっています。
建設汚泥は、シールドトンネル工事等からの発生し、平成7年度は年間980万tありましたが、平成20年度の実態調査では、450万tと半分以下の発生量となっています。
建設汚泥のリサイクルが向上しない理由として、建設汚泥の性状を改質して土質材料として利用するために費用がかかることと、建設発生土が供給過多の状況となっているためです。建設汚泥が大量に発生する工事においては、想定される建設汚泥の性状について、調査・検討を行い、脱水処理方法や改質方法、活用先や処分先についての計画策定が重要となります。
国土交通省では、建設汚泥のリサイクル推進のために、リサイクル原則化ルールによって国土交通省所管の直轄事業で発生する建設汚泥については、経済性にかかわらず、他工事現場での利用もしくは再資源化施設への搬出を義務付けています。
阪神高速道路大和川線の泥土圧式のシールドトンネル工事では、再生利用制度を活用して、100万m³の建設汚泥を大阪市の貯木場の土地造成事業に活用しました。
東京外環自動車(関越~東名)やリニア新幹線工事など地下トンネル構造となる工事では、大量の建設汚泥が発生します。建設汚泥の改質処理計画や有効利用の計画が今後の建設汚泥のリサイクル率に大きな影響を与える事になります。
建設発生木材とは、建設工事に伴って発生した木材です。伐採材や伐根材、木製梱包材等は、建設資材ではないので、建設発生木材ではありません。建設発生木材は、コンクリート、アスファルト・コンクリートと並んで、建設リサイクル法で分別解体と再資源化が義務付けられた「特定建設資材」となっています。平成20年度の実態調査では、410万tの発生量となっています。
建設発生木材は、木造住宅の解体工事からの発生量が多く、解体木材には、CCA処理(防蟻処理)、塗料の塗付、釘や金具などの付着があります。このような理由で、解体木材をチップ化して、製紙原料になるものは殆どありません。解体木材の用途別のリサイクルとしては、燃料利用が最も多く、次いでパーティクルボード原料、そのほか堆肥化や家畜の敷料としてリサイクルとなっています。
建設発生木材のリサイクル推進のためには、リサイクルの用途に合致した木材チップの品質基準が求められます。従って、木質リサイクルチップの品質基準に則った分別解体が重要となります。
柱や梁などの断面の大きな解体部材からは、比較的良好なリサイクルチップを製造することができます。解体した木材を断面積の大きさ別に分類して集積することで、リサイクル用途別の分別ができて、建設発生木材の効果的なリサイクルが進展します。
全国木材資源リサイクル協会連合会が策定した、木質リサイクルチップの品質規格を策定していますので参考にして下さい。
特定建設資材廃棄物を除く建設廃棄物は、各建設工事現場からの排出量も少なく、リサイクルシステムが確立している品目が殆どないのが現状です。工事現場では、安易に建設混合廃棄物として処理するのではなく、可能な限り分別に努めることで中間処理施設での負担が軽減されるとともに、建設廃棄物全体のリサイクルが向上します。
また、現場で少量の端材が発生しないように、資材納入時に必要数量や寸法等を詳細に測定して、納入品のプレカットなどを推進することも重要です。
次回は、各県のリサイクル品認定制度や他産業の副産物の建設分野での有効利用について紹介する予定です。
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