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建設副産物のリサイクル 建設業界で話題の出来事をConCom独自の視点でご紹介

第6回
建設副産物のリサイクル推進にむけて

2013/11/20

設副産物のリサイクルに関してこれまで、基本ルール、建設発生土のリサイクル、建設廃棄物の主要品目のリサイクルの状況等について触れてきました。

建設産業全体では、膨大な資源が投入されているなかで、建設産業から発生する建設副産物のリサイクルだけでなく、他産業で発生する副産物の再生材料等も大量に利用されています。

「循環型社会形成推進基本法」、「グリーン購入法」、「食品リサイクル法」、「建設リサイクル法」などリサイクルに関する一連の枠組みが整備された平成12年以降は、各産業、各部門で資源を有効に使用するため、リサイクルの取り組みが行われてきました。平成17年の「京都議定書」目標達成計画の策定を前後して、低炭素型社会形成の取組みが叫ばれるようになりました。近年は、資源循環型社会と低炭素型社会の共生が求められています。

最終回は、このような背景を踏まえ建設リサイクルだけでなく建設事業での環境負荷低減に資する取り組みについても紹介します。

公共工事における特定調達品目(グリーン購入法)

成12年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(通称:グリーン購入法)が公布されました。この法律は、国等が環境物品等(リサイクル物品等)を率先して調達する事で、地方公共団体や民間への取り組みの輪を拡げ、環境物品への需要の転換が図られ、資源循環型社会形成に資するものであります。

グリーン購入法では、環境負荷低減に資する物品を特定調達品目として指定し、その判断の基準等を定めています。

公共工事では、資材、機械、工法、目的物の4分類で66品目が特定調達品目として指定されています。

平成25年度のグリーン購入法の基本方針は以下のサイトにあります。 (公共工事はp151以降)

参考PDF

リサイクル製品認定制度

都道府県等では、リサイクル製品の認定制度を創設して、積極的にリサイクル品の活用の推進を図っています。愛知県では、平成14年からリサイクル製品認定制度を創設し、通称「あいくる」として、公共工事で使用する多くのリサイクル資材を認定しています。建設資材以外のリサイクル製品(家具、トイレットペーパー、生活雑貨)を認定している自治体もありますが、どこの自治体でも建設資材は認定品の大部分を占めています。

以下のサイトで各都道府県のリサイクル認定制度を紹介しています。

参考URL

他産業の副産物の有効利用

写真1)鐵鋼スラグ固化水和体の投入状況写真1)鐵鋼スラグ固化水和体の投入状況

鋼業会からの副産物である鉄鋼スラグは、毎年高炉スラグ、製鋼スラグ(転炉スラグ、電気炉スラグ)あわせて約3,800万t程度が排出されます。このうち約半分がセメント用に、残りの半分がコンクリート骨材や道路盛土材、埋立て材等の土工材料として利用されています。銅スラグやフェロニッケルスラグなどの非鉄スラグについてもケーソンの中詰め材料として、建設分野で利用されています。

羽田空港のD滑走路の埋め立て工事では、製鋼スラグと高炉スラグ微粉末を混合して固化したもの(鐵鋼スラグ固化水和体)を利用しました。

これらのスラグ以外にも、フライアッシュやガラスカレットなど他分野から排出される副産物等を土工材料等として使用しています。

火力発電所などから排出されるフライアッシュは、年間約900万t程度ありますが、フライアッシュセメントのほかコンクリート混和材として、高流動コンクリート工法や吹付けコンクリート工法等に利用されています。

建設廃棄物の発生抑制の取組み

設事業では、大量の廃棄部が発生します。建設事業から排出される廃棄物を再生利用することはもちろんのこと、他産業から排出される廃棄物についても建設事業で有効利用しています。社会資本整備の成熟化に伴い既存ストックの維持管理や更新にウエイトがおかれています。今後は、新たな建設事業量も減少することから受け入れ可能な再生資源量も減少が予想されます。建設廃棄物の発生を抑えるための維持管理の充実や長寿命化、橋梁のリユース、建築物のリノベーション等が重要となります。

多くの都道府県等では膨大な建設費用の平準化の観点から橋梁の保全・維持管理の充実を図ることで、廃棄物の発生抑制、ライフサイクルコストの低減、さらには、長寿命化に貢献する橋梁マネジメントシステムを導入しています。

以下に青森県の橋梁長寿命化修繕計画のサイトを紹介します。

参考PDF

環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指して

図1)工業製品および建設資材の重量あたりの価格(概算価格)図1)工業製品および建設資材の重量あたりの価格(概算価格)

環型社会を構築するには、リサイクル製品を創るだけではリサイクルの輪が廻りません。グリーン購入法の特定調達品目や都道府県が定めるリサイクル認定品を積極的に使用する事でリサイクル製品の生産活動が活発になりリサイクル市場が上手く形成されます。

しかしながらリサイクルだけに捉われて、過剰なエネルギーを投入したリサイクル製品も見受けられます。

また、建設資材は工業製品に較べるとはるかに重量物が多く右の図は、工業製品と建設資材の1トンあたりの概算の金額です。建設資材は、価格に占める運搬割合が大きくなります。運搬に伴うCO2排出量は、重量と運搬距離に比例して大きくなることから、環境負荷低減の観点からも建設資材の調達は、できる限り近傍からの調達が望ましいことになります。

建設副産物のうち、コンクリートやアスファルト・コンクリートが極めて高い水準でリサイクルされているため、建設副産物全体としても90%を超えています。この高いリサイクル率を維持してゆくためにも建設事業に携わる全ての関係者が連携、協力してゆくことが重要となります。今後とも建設リサイクル推進のため皆様のご協力宜しく御願いいたします。

以下は、建設副産物リサイクル広報推進会議のHPです。建設リサイクルに関する有益な情報が掲載されていますので、ご利用ください。

参考URL
寄稿

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