2016/02/25
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
平成11年に品確法が制定され、住宅の主要構造部と雨漏れについては10年の瑕疵担保責任を負うことになりました。屋上防水工事は、一般に施工者は10年間の保証期間を設定しています。
建物は漏水によって、建物としての機能を著しく損ない、建物の価値を下げます。また、建物を使用する人たちに水による被害を及ぼします。補修する場合でも仕上材に覆われていて、その要因となる箇所がなかなか特定できず、多大な時間と労力を要する問題に発展することもあります。
工事監理者は漏水のない建物を造るために、防水工事の計画や納まり、防水下地の状態、防水施工の適否を確認します。設計図書では詳細な納まりが決まっていないことがあり、工事監理者は施工図で納まりを確認します。防水工事では防水下地の状態が、漏水のない建物を造るために重要な監理ポイントになります。防水工事の隠れて見えなくなる部分がいい加減に施工されないように、現場で確認したり施工者から写真や記録を提出させたりして、しっかりと工事監理をしなければなりません。
住宅を新築する建設工事の請負契約においては、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く)について、民法第634条に規定する瑕疵担保責任を負う。
前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。
防水工事は、メンブレン防水工事とシーリング工事に大きく分けられます。メンブレン防水は、不透水被膜を形成することで防水するもので、公共建築工事標準仕様書ではアスファルト防水、改質アスファルトシート防水、合成高分子系ルーフィングシート防水及び塗膜防水を扱っています。シーリング工事は、不定形弾性シーリング材を用いて、部材の接合部等を充填するものです。
アスファルト防水工事は、下地作成、プライマー塗り、ルーフィング張り、ドレインや配管立ち上がりなどの補強張りの工程で進めます。
良いコンクリートを打設し、下地に漏水がないことが望ましいことです。下地の不具合は、将来の雨漏れのリスクにつながります。たとえば防水下地に突起があれば、長期的には防水層にストレスを与え、その部分に劣化を生じさせます。下地について、次のようなチェックをします。
公共建築工事標準仕様書には、下地の含水率の数値がなく、「十分に乾燥」となっています。メーカーでは含水率は8%以下が多く、1つの基準になります。
下地の段階で散水して水が滞留しないことを確認しています。水が滞留する場合には、左官で補修して水が滞留しないようにします。
アスファルト防水の材料は、プライマー、アスファルト、アスファルトルーフィングなどがあります。アスファルト防水ではアスファルトを釜で溶融してルーフィングを張り付けます。溶融時に煙や臭いが出るので、溶融釜を使わないトーチ工法もあります。ルーフィングにアスファルトが付いていて、トーチであぶって張り付ける工法です。
アスファルトルーフィングは、寝かせると曲がった癖が付いてしまうので、立てた状態で保管します。梱包には「横積、水ぬれ厳禁」と表示されています。
アスファルトを溶融する釜です。煙や臭いが出るので、状況によっては近隣説明や消防署への事前連絡が必要になります。
最初に下地にプライマーを塗ります。プライマーは下地とルーフィングの接着を高めます。プライマーを塗り終えたら、多少雨が降っても下地に水分が吸収されません。
事例では外断熱仕様で、断熱材を敷き込んでからアスファルトルーフィングを施工しています。
ドレインや配管の立ち上がり部分、入隅部分(2つの面が出会ってできる凹状の部分)、出隅部分(2つの面が出会ってできる凸状の部分)など、防水層の弱点となりやすい部分を補強します。補強方法は、メッシュを入れて補強したり、1層多く増し張りしたりします。
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