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現場監理の達人 現場監理に役立つチェック項目を、工程ごとにご紹介

集合住宅編
第21回 建具工事-1

2016/08/30

合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別のチェックリストもPDF 形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。

ここでの監理者の心構え

ンションの建具工事では、大きく鋼製建具工事(アルミ、スチール、ステンレスなど)と木製建具工事に分けられます。鋼製建具工事は、建物の外観のデザインを決める大切な要素であり、機能的にも重要な工事です。鋼製建具の寸法は設計図書で定められていますが、現場では仕上げとの関係を検討し、寸法を調整することがあります。鋼製建具の施工図(サッシ図)では仕上げとの納まりが検討されていることが重要です。たとえば、仕上げがタイルの場合にはタイル割りに合わせて鋼製建具の寸法を決め、タイル割りと鋼製建具に合わせて躯体図の寸法を決めます。監理者はサッシ図で施工者が十分に検討していることを確認します。

鋼製建具は建築基準法の排煙基準、換気基準、採光基準、避難通路基準などとも関係するので、鋼製建具の寸法を変更した場合には注意が必要です。仕上げから鋼製建具の寸法を決めますが、現場では躯体打設後、最初に鋼製建具を施工します。鋼製建具が取付けられたら、鋼製建具を基準にして仕上げを造っていきます。鋼製建具の仕様、納まり、法令、取付け状況などの確認が、監理者の重要な監理項目になります。

木製建具工事の監理で重要なことは、監理者は実際に使う人のことを想定して、使い勝手が良いかどうか、使う人のニーズが満たされているかどうかを確認します。ガラス工事では、ガラスの種類、網入りの有無など、使う人のニーズや法令との適合などの確認が重要になります。

鋼製建具工事の監理フローの概要は、次のようになります。

鋼製建具工事の監理フロー
鋼製建具工事の監理フロー

鋼製建具工事 1.アルミニウム製建具工事

アルミニウム製建具(以下、略してアルミ製建具という)は窓に使われることが多く、設計図書ではアルミ製建具の窓をAWという記号で表しています。外壁の窓に多く使われ、色もシルバー色だけでなくブロンズやブラックなど種類があります。また、艶があるもの、艶を消したものなど、表面加工にも種類があります。

① 躯体施工時の準備

「監理者の心構え」に書きましたが、仕上げと建具との納まりをよく検討し、寸法を確定して建具を発注します。検討が不十分だと現場で納まらず、作り直しというケースもありえます。建具の寸法、位置、納まりが確定し、躯体図を作成し施工します。躯体の施工では、溶接用のアンカーを打込み、水切り部分の欠き込みなど、建具の取付けがスムーズにいくように前施工をします。

サッシアンカーを入れておく
サッシアンカーを入れておく
  • サッシアンカー
    (建具取付け用溶接アンカー)
欠き込みを作っておく
  • 欠き込みを作っておく
  • アルミ製建具の水切り部分が張り出しているので、躯体に欠き込みを作っておきます。
    型枠工事で欠き込みをしておかないと、あとで躯体をはつって(削って)対応しなければなりません。
② アルミ製建具の受入検査

アルミ製建具の受入検査では、発注した仕様、寸法通りに納品されたかどうか、傷などがないかどうかを確認します。

受入検査
  • 受入検査

    アルミ製建具が搬入されました。

  • 受入検査

    保管場所を定め、運び込みます。

設計図書で「膜厚検査」の指示がある場合には、計測器で計って検査します。

膜厚検査
膜厚検査

検査基準が16㎜以上に対して、18.7㎜で合格になっています。

③ アルミ製建具の取付け

施工者はサッシ取付け業者の入場前に、溶接アンカーの有無、位置を確認します。不足している場合は、後打ちアンカーを施工します。建具は3次元で取付けられますので、上下のレベル墨、左右及び前後の縦墨からの寸法を、現場に記入して指示します(または施工図面で指示します)。建具の取付け箇所ごとに躯体寸法をチェックし、建具が図面通りに納まることを確認します。

建具の位置決め
建具の位置決め
  • 木製のくさびを使い、躯体に建具をセットします。
  • 下げ振りで建入れをチェックし、傾きなどを修正します。
溶接作業
  • 溶接作業
  • 建具の位置が決まったら、溶接をして固定します。
溶接状況の確認
  • 溶接状況の確認

    溶接の間隔が遠いと、建具の周囲にモルタルを詰めた時に、動きやゆがみが生じてしまいます。溶接の位置は、端部は150mm、中央は400mmピッチを基本とします。

  • 溶接状況の確認

    サッシの取付け位置を、墨からの寸法で指示。

取付け及びモルタル詰め完了
  • 取付け及びモルタル詰め完了
  • 建具の取付けが完了し、建具周囲のモルタル埋めが完了した状態です。ガラス工事も完了しています。

鋼製建具工事 2.スチール製建具工事

スチール製建具は、主に玄関扉、倉庫の扉など、ドアに使っていて、設計図書ではスチール製のドアをSDの記号で表しています。

① スチール製建具の取付け前準備

アルミ製建具と同様に、仕上げと建具との納まりをよく検討し、寸法を確定して建具を発注します。躯体の施工では、溶接用のアンカーをコンクリートに打込んでおきます。

受入検査
  • 受入検査
  • スチール製建具の受入検査では、発注した仕様、寸法通りに納品されたかどうか、傷や凹みなどがないかどうかを確認します。

スチール製建具はドアの活用が多く、ドア枠の下側の沓摺くつずり部分(靴で踏む部分)のモルタル詰めが、ドア枠取付け後では隅々まで充填されないことがありえます。充填が不十分で空洞があると、踏んだ時に音が出ることがあります。そこで、ドア枠を搬入後に逆さにして、沓摺部分だけ取付け前にモルタルを充填しておきます。

沓摺部分のモルタル詰め先行
  • 沓摺部分のモルタル詰め先行
  • 先にスチール枠の沓摺部分にモルタルを詰めておく。
建具の位置決め
建具の位置決め
  • 下げ振りで建入れをチェックし、傾きなどを修正します。

溶接作業
  • 溶接作業
  • 建具の位置が決まったら、溶接をして固定します。
  • 溶接状況の確認
    溶接状況の確認

    溶接の位置、溶接の状態を確認しています。端部は150mm、中央は400mmピッチを基本とします。

  • 取付け完了
    取付け完了

    建具の取付けが完了した状態です。引き続いて、周囲のモルタル詰めを行います。

「建具工事の確認」ができるチェックリストをダウンロード

工事監理では、「工事と設計図書との照合及び確認」が求められていますが、具体的に何を確認するのかは明確ではありません。どのような確認項目があるのか、体系的に理解していただけるように、チェックリストをご提供します。

チェックリストは2つあります。1つは、工事監理ガイドラインの「確認項目及び確認方法の例示」です。もう1つは、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を参考に作成した「工事監理チェックリスト」です。しっかりとした確認をするために、これらのチェックリストをご活用ください。

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

原稿協力

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