2017/08/30
集合住宅建設における工事監理者の業務を主体とした「現場監理の達人 集合住宅編」では、全37回にわたり工種ごとの工事監理のポイントについて、専門用語の解説や事例写真を使いわかり易く解説しています。工種別の工事監理ガイドラインもPDF形式でダウンロードできますので、ぜひ業務に活用ください。
設備工事は大きく電気設備工事と機械設備工事に分けられます。機械設備工事には、給水工事、排水工事、空調工事、保温工事、ガス工事、消防設備工事、衛生器具工事などが含まれます。建築工事を統括する現場代理人がいますが、設備工事会社でも現場代理人が選任されて、設備工事全般を施工管理し、建築工事や他の専門工事との調整をしながら進めます。
監理者は建築、機械設備、電気設備の各現場代理人を集めて定例会議を開き、仕様の決定や変更事項への対応などを協議しながら工事監理をします。たとえば設備機器が変更になれば、建築工事の納まりが変わったり、電気の容量が変わったりすることがあります。建築工事、電気設備工事、機械設備工事は相互に関連しているので、監理者は総合的な検討が重要になります。
監理者は機械設備工事では、施工計画・施工図、設備工事会社が行なう試験・検査の記録、実際の設備機器の機能の有効性や設備機器の取付け状態などを確認します。
外構工事の排水設備は、「第27回ユニット及びその他の工事、排水工事、屋上緑化工事」で説明しています。ここでは建物内の排水設備について説明します。
排水管は勾配を確保しなければなりません。施工図の検討では給水、給湯、ガス、電気の配管よりも優先的に配置します。排水管以外の配管は、多少自由がききます。一般には電気配管の自由度が高いので、他の配管と重なってしまった場合には、電気配管の位置を変えて調整することになります。
排水管の漏水事故は、そのほとんどが接合部からの漏水です。施工後に接着剤がもれなく接合部全面に塗られて、しっかり接着されていることを確認することは目視では困難です。そこで、接合部の配管を透明にし、接着剤の塗布状況を確認できるようにしました。これで目視によって接合部の接着状況が確認できるようになりました。
排水管のもう1つのチェックポイントは排水勾配です。排水勾配がとれていないと、排水の滞留や流れが悪くなる原因になります。
建物の完成時には実際に水を流して排水管の検査をします。可能性でいえば、工事中に木片が配管に入れられていることもありえます。ピンポン玉のような固形物を流して確認したり、次の写真のようにタオルを流したりして管路を検査します。
縦の排水管を排水が落下するときに、管上部が閉塞して密閉された状態であると、排水管内の空気圧が減圧されて、トイレなどの枝管のトラップの封水を吸い出してしまうことがあります。トラップはトイレ、キッチン、浴室、洗面所などの各所に付けられています。管内が減圧にならないように、排水管の最上部には通気口を設けます。
屋上に設置された通気口の例を示します。
雨水は屋上、廊下、バルコニーなどのドレンから樋によって1階に集められ、外部に排水します。一般にバルコニー側の縦樋は視界に入らないように、壁側に沿って取付けられます。なお、樋工事については、「第19 回屋根及びとい工事、金属工事」で簡単な説明があります。
ドレンに縦樋がまだ接続されていない状態だと、雨が降ると下階に水が落ちてきます。仕上工事に支障がでるので、ビニールの筒で水を外部に導くようにしています。
次はトイレの配管の例です。配管工事、内装工事、仕上工事、便器等の機器取付けと工事が流れています。
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