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2023/05/08

『生産性向上、働き方改革に向けた地域建設業の
取り組み【働き方改革編】』に関する調査研究

コンコムを運営している一般財団法人 建設業技術者センターでは、良質な社会資本整備の前提条件である建設技術者の確保・育成に寄与することを目的に、建設技術者及び建設工事の施工管理に関する調査研究を行っています。この度、令和4年度に行った『生産性向上、働き方改革に向けた地域建設業の取り組み【働き方改革編】』に関する調査研究結果をとりまとめ、報告書及び概要版を作成するとともにセンターのホームページに掲載しました。

令和元年度、2年度の2か年で実施した『地域社会を支える建設業および建設技術者の現状と課題』をもとに、令和3年度は「生産性向上」(主に「ICT活用」)に積極的に取り組んでいる建設会社や、発注者である県本庁の担当部局を取材し、「生産性向上」の更なる推進につながる方策についてとりまとめ、ホームページに公表しました。令和4年度の調査研究は、令和3年度の調査研究に引き続き実施したもので、「働き方改革」(主に「週休2日」「長時間労働の是正」)に着目して実施したものです。

【調査の概要】

◎調査期間/令和4年8月、10月

◎調査対象県/秋田県、石川県、宮崎県

◎取材対象者/県本庁の担当課、及び当該県内に本社を置く主として県発注工事を受注している建設会社(各県2社:計6社)

◎主な取材テーマ(県)

・働き方改革(週休2日、長時間労働の是正)への取り組み状況と課題

・建設会社が働き方改革に取り組むための財政的な措置

・建設会社が働き方改革に取り組みやすくするための施策と効果

・全国統一指標の設定及び実施状況と今後の目標 等

◎主な取材テーマ(建設会社)

・週休2日に取り組んだきっかけ、具体的な取り組み、課題、解決方策

・長時間労働の是正に向けた具体的な取り組み、課題、解決方策

・週休2日、長時間労働の是正に関して発注者等に取り組んでほしいこと

・週休2日、長時間労働の削減に取り組むうえで留意すべきこと 等

本トピックスでは建設会社への取材結果を、以下に抜粋して紹介します。なお報告書では、第3章において取材結果を各県の取材先ごとに記載していますので、詳細はそちらを参照してください。

週休2日を推進するために

・週休2日を継続的に推進するためには、会社として「週休2日を確実に実施する」ことを取り決めたうえで、対外的にも周知することも必要。

・長時間労働の削減に取り組むことが週休2日の推進にもつながる。どのようにすれば残業せずに仕事を終わらせることができるかを、社員が自主的に考え、努力させることもとても大切。

・日給制の技能労働者は、できるだけ月給制に変えていくことが必要。建設業界全体が取り組む最初の大きな第一歩として取り組んでいく重要な課題。

・週休2日を踏まえた十分な工期が確保されているかを、よく精査して応札する取り組みが必要。

長時間労働を削減するために

・作成書類はできるだけ電子データ化するほか、クラウドやソフトを活用して自動的に整理する方策が効果的。たとえば「電子小黒板」の活用など。

・現場技術者の書類作成時間を減らすことが有効。本社内に「ICT推進室」などを設けて、現場をバックアップすることも極めて有効な対策。

・待機時間や移動時間を減少させることができるASPや遠隔臨場は、積極的に取り入れるべき。

働き方改革へ取り組む企業へのアドバイス

・会社の10年後を考えるのであれば、絶対に週休2日には取り組むべき。

・例えば、3年後、5年後、10年後という形で、社員の未来を明確に示してあげることが大事。

今回の調査研究を通じて、発注者は週休2日の推進を課題として認識し、進め方に悩みながらも取り組んでいる一方、既に週休2日に取り組んでいる建設会社は時間外労働も少なく、社員の健康を意識した健康経営に高い関心を持ち、長期的で持続可能な発展を見据えた取り組みを行っていることが印象的でした。

週休2日の推進、長時間労働の是正は、現在の建設業が抱える大きな課題であり、その推進にはいろいろと解決していかなければならないことはありますが、これらは受注者だけで解決できるものではなく、発注者も同じ意識で取り組んでいく必要があります。

報告書では、発注者に取り組んでほしいと感じていることや、実際の発注者の取り組みなども掲載しています。概要版も作成していますので、働き方改革の一歩を踏み出すために、ぜひご一読ください。

最後に、取材にご協力いただいた各県の担当部局の皆様、及び建設会社の皆様に、厚く御礼を申し上げます。

 

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