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2024/04/01

建設業の働き方改革に向けた近畿地方整備局の取り組み ~「受発注者コミュニケーションガイド」等の作成~

国土交通省近畿地方整備局は、今年(2024年)4月から「罰則付き時間外労働の上限規制」が適用されることを踏まえ、働き方の改革を促進するための「土木工事書類作成スリム化ガイド」及び「受発注者コミュニケーションガイド」をそれぞれ、昨年12月、今年2月に作成、公表し、受発注者双方とも積極的に活用していく取り組みを始めました。

<土木工事書類作成スリム化ガイド>

働き方を改革する上で「工事書類のスリム化の徹底」が重要との認識から、関東地方整局が令和3年9月に取りまとめ、建設業団体に好評の「土木工事電子書類スリム化ガイド」を参考にしつつ、近畿管内の建設業団体などからの意見も取り入れながら、近畿地方整備局版として新たに取りまとめられたものです。
記載内容は「全ての書類は電子化」など24項目。これまでも通知・周知してきた内容を改めてわかりやすく簡潔にまとめたもので、スリム化だけではなく、受発注間の書類作成に関する役割分担の明確化も図っています。特に意が尽くされているのは「工事打合せ簿②」に関する記述。「過度な説明用の資料の作成や添付は求めない」と明確な否定形で表すとともに、「過度な資料」とはどのようなものか受発注者双方が共通のイメージを持つよう、「発注者内での検討のみに使用する資料」等の具体例が記載されています。

土木工事書類作成スリム化ガイド

<受発注者コミュニケーションガイド>

「土木工事書類作成スリム化ガイド」作成の過程で、書類のスリム化に加えて、建設業団体から多く届いた意見が「設計図書の照査範囲の認識が受発注者間で異なる」、「協議に対して速やかな回答がない(発注者にタイムイズマネーの認識を強く持ってほしい)」等、受発注者間の認識のずれや発注者の対応の遅れに関することだったことから、近畿地方整備局は、受発注者間のコミュニケーションをもっと積極的に図るための「受発注者コミュニケーションガイド」を取りまとめました。
記載内容は「設計変更ガイドライン(案)」など、「工事請負契約におけるガイドライン(総合版)」を構成する6部のそれぞれごとに、受発注者間のコミュニケーションが必要なポイントについてわかりやすく簡潔にまとめたもので、ガイド名には「受発注者」とついていますが、主として、現場技術員も含めた発注者が強く認識すべきことを念頭に取りまとめられています。 「設計変更ガイドライン(案)」のポイントの冒頭に「品確法の基本理念は、請負契約の当事者は対等の立場」と改めて明記し、発注者が受注者と対等にコミュニケーションを取るという基本的なことがらを改めて求めていることからもその意図が示されています。

受発注者コミュニケーションガイド

近畿地方整備局では、受注者が、上記2つのガイドをスマートフォン等に格納し、発注者の指示・対応に疑念が生じた場合は、いつでもこのガイドで確認することを、機会あるごとに推奨しています。また発注者の立場になる地方整備局職員などには、これらのガイドによる常日頃からの確認を受注者に推奨していることを周知し、発注者としても常にガイドに即した対応を行うことの徹底を図っています。また今後に向けては、2つのガイドが監督職員や現場技術員等にしっかりと浸透し活用されるよう説明・周知を行うとともに、人事異動などによりこの2つのガイドが忘れられてしまうことがないよう、繰り返し地方整備局の各事務所幹部に周知・徹底を図ることとしています。さらに、建設業団体および地方整備局職員の意見を反映しながら、より一層受発注者双方の省力化に繋がるよう継続して見直しを行う予定としています。「この2つのガイドに記された内容は、改めて明示する必要がないほど、至極当たり前の内容であるが、当たり前の内容を改めて明確にした上で、それを当たり前に実施することを、組織として、頭・体にしみ込ませていくことに大きな意義がある」と取りまとめに当たった担当官は、意義を強調しています。

「書類の簡素化」「受発注者間のコミュニケーションの向上」は、当財団調査研究「2024年問題に対する地域建設業及び技術者の取り組み」でも今後の取り組み課題として取り上げていますが、この課題に発注者から積極的に対応していこうとする近畿地方整備局の取り組みは大いに歓迎されるものであり、今後の周知徹底により実効性が高くなることが大いに期待されるほか、他の地方整備局や自治体にもこのような取り組みが展開されていくことが望まれます。

詳細は国土交通省近畿地方整備局のホームページでご確認ください。

近畿地方整備局報道発表

 

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