打設中(締固め)
2015/03/30
6月の晴れた日、山間部の河川を横断する道路橋上部工(高さ約4m)のコンクリートをコンクリートポンプ車を用いて打ち込んだ。コンクリートは呼び強度40N/mm2、スランプ8cm、粗骨材の最大寸法25mmである。コンクリートの圧送には4インチのホースを使用した。
コンクリートの圧送に先立ち、先送りモルタルを使用した。モルタルは型枠の外でバケツに受け取ってから、ホースを型枠の中央部に設置した。ホースの筒先を中央に向け、コンクリートの打ち込みを開始したところ、筒先があばれ、最初のコンクリートが噴発し、側面の型枠を汚してしまった。その後、生コンクリートが順調に送られたので、汚れた部分も、すぐに打ち重ねられるだろうと判断し、打込みを続行した。
1週間後、側面の型枠を外したところ、大きな色むらの模様が発生しており、美観を損ねるものであった(写真1)。
美観を損ねる色むらが発生した直接の原因は、型枠に付着した生コンクリート、正確には噴発により分離したモルタル分が乾いた状態で、その上に新しいコンクリートを打ち重ねたからである。誘因としては圧送した生コンクリートの噴発である。
噴発した原因は、生コンクリートのスランプが低く、打込み開始時の配管内をうまく圧送できなかったことによると想定された。現場で測定したスランプは9cmあり、先送りモルタルを使用していたが、それでも噴発してしまった。
一般的に色むらの発生するメカニズムには材料の分離、セメントの水和反応の進行過程の差、型枠および剥離剤の塗布などがあると言われており、多くの要因が複雑に絡み合っていることが多い。いずれにしても見栄えに与える印象が大きいことから、現場としては悩ましい問題である。
なお、今回の色むらはコールドジョイントとは異なり、耐久性に対しては全く問題はないと言われている。美観を改善するために左官仕上げすることも考えたが、補修をすることでかえって補修箇所が目立つことがあるので、何もしなかった。
型枠に付着した生コンクリートは、きれいに取り除くことが原則である。具体的には少し乾くまで待ち、ケレンを行う。さらに、はねた跡を残さないように雑巾がけをすると良い。
ホースの筒先の暴れに対しては、可能ならば組立てた鉄筋の内部に圧送作業員が入り、筒先をコントロールする。筒先は型枠側でなく中央に向け、筒先のロープをしっかり鉄筋等に固定しておくのが良い。
噴発に対しては、打込み開始時の生コンクリートはモルタル分が抜けた骨材分が先行して送られる。このため、先送りモルタルの使用は必須である。さらに、生コンクリートのスランプも許容値内で大きくした方が良い。設計のスランプが8cmであれば、受入れ検査の判定基準は±2.5cmなので、プラントに10.5cmを目標に出荷してもらう。
今回の色むらは原因を特定できる事例であったが、一般的な色むら対策としては、1層30cm程度に水平になるように打ち込み、打重ね時間を短くし、ブリーディング水は除去すること、バイブレータをかけすぎないこと、型枠の剥離材はむらが無いように塗布することなどがあげられる。
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