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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

土工事4)山留め他

地盤調査ボーリング跡から思わぬ出水

2015/11/26

工事の概要とトラブルの内容

図1 出水トラブル発生状況の概要図1 出水トラブル発生状況の概要

ールドトンネルの発進立坑(深さ14m)の掘削工事において、深さ3mまで掘削した時点で掘削面の中央付近から少量の湧水が認められた。釜場排水で処理すれば充分であると判断して工事を進めたが、掘削深さ5m付近になって大量の出水が発生した。出水箇所を調べると、地面に直径10cm程度の地盤の緩みが確認でき、そこから水が噴出していた。なお、山留め壁は深さ18mのソイルセメント柱列壁(遮水壁)で、層厚5m程度の固結シルト層に根入れされている(図1)。そして、固結シルト層の下には被圧した地下水を有する砂礫層が存在する。

原因と対処方法

出水箇所の緩み具合や掘削中の状況などから、出水の原因は地盤調査を行ったボーリング孔の埋戻し不良であると推測された(図2)。砂礫層まで達している調査ボーリング孔の止水処理が不十分であったため、山留め掘削が進むにつれてボーリング孔が水みちとなり被圧地下水が噴出したと考えられる。なお、この調査ボーリング跡は、本工事のために実施したものではなかったので、事前には把握されていなかった。

対策としては、掘削工事を一時中断し、以下に示す手順で調査ボーリング跡に薬液注入を施工した(図3)。

  • 図2 出水原因の推定図図2 出水原因の推定図
  • 図3 薬液注入による対策工図3 薬液注入による対策工
  • ①出水した調査ボーリング孔の上に鋼管(φ300mm×長さ2.5m)を立ち上げ、薬液注入機械が設置できるように鋼管の周囲を埋め戻した。なお、鋼管はバックホウで20~30cm地盤に貫入させた。
  • ②鋼管内の水位上昇に伴い出水がほぼ止まったことを確認してから、薬液注入機械を設置し、鋼管内を通して古いボーリング跡への薬液注入を行った。
  • ③翌日に鋼管内の水位を下げて出水が止まったことを確認し、掘削を再開した。

なお、水の流れがあると薬液が固結(ゲル化)する前に流出して所定の止水効果が得られないことがあるため、ゲルタイムが5秒程度の瞬結タイプの水ガラス系薬液を使用した。薬液注入を行う範囲は(地下水流があると考えられる砂礫層は避けて)固結シルト層5mと、その上の砂質シルト層5mとした。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

今回の出水トラブルは、工事とは直接関係のない過去の調査ボーリング跡が原因であり、事前に予測するのが困難な事例であった。ただし、山留め工事では地下水に関連したトラブルが非常に多いので、掘削中の湧水に対しては細心の注意を払う必要がある。今回も湧水に気が付いた時点で、より慎重に状況観察しながら施工していれば、もう少し早い時期に簡易に対策を講じることができたかもしれない。

なお、豊富な地下水が存在する地域では、過去に民家や産業施設で利用していた古い井戸や、建設工事に伴って設置したディープウェルなどが埋もれていることもあり、掘削工事中に思わぬ出水事故を招くことがある。したがって、山留め工事を行う場合には、施工前に実施した地盤調査結果だけでなく、過去の土地利用状況や周辺の工事記録なども入念に調べておくことが望ましい。

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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