ConCom Constructor's Community
建設技術者のための情報発信サイト
4)山留め他
2015/11/26
杭の周面から噴砂が発生した原因は、次の2つの要因によるものと考えられた。
対処方法は、まず応急対策として床付け面から1m程度を埋め戻して噴砂や湧水を止めた。そして、土留壁の外側に揚水井戸(デープウェル)を設置し、砂礫層の被圧水位を床付け面より下に低下させた(図3)。なお、井戸の本数や揚水量は事前に数値解析を行って決定した。水位低下後に床付け掘削を再開し、噴砂が発生した杭の周囲にはセメントミルクでグラウト注入を行った。床付け完了後は速やかに底版コンクリートを打設して、2週間後には揚水を止めて漏水が発生していないことを確認し、その後の躯体工事などを進めた。
今回のトラブル事例は、砂地盤の掘削中に起こるパイピングによる出水事故とは状況が異なるが、被圧帯水層に杭を施工する場合には同様の注意が必要である。特にプレボーリング工法は杭周面が水みちとなる可能性があるので、杭周固定液を使用するなど、施工方法の選定には留意する。また、中堀り杭の最終打撃工法では杭の内側が水みちとなる可能性もある。このようなトラブルを避けるためにも、事前の地盤調査を適切に実施し、地下水位のデータも十分に吟味して施工計画を立てることが肝要である。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
トピックス
2023/12/01
令和5年11月9日に、国土交通省が「令和6年度技術検定のスケジュール」等を公表しました。コンコムでも今年5月に既にお伝えした、各種技術検定の見直し後の受検資格が初めて...
土木遺産を訪ねて
2023/12/01
今回の歩いて学ぶ土木遺産は、富山地方鉄道・立山線が、終点である立山駅(立山黒部アルペンルートの富山側出発点:MAP参照)の手前約7kmの地点で、立山連峰から富山湾にそそぐ我が国...
現場の失敗と対策
今月の一冊
2023/12/01
「けんせつ小町」「ドボジョ」―――。日本の建設業でも、女性活躍の場が広がりつつある。国内でさえまだ女性進出が珍しかったころ、すでに海外で土木技術者として活躍した...
働き方改革
2023/12/01
時間外労働が多い原因を探ると、大きく3つの原因に分けられます。1つ目は仕組みの問題、2つ目は教育、3つ目は組織...
Copyright © 2013 一般財団法人 建設業技術者センター All rights reserved.