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4)山留め他
2015/11/26
杭の周面から噴砂が発生した原因は、次の2つの要因によるものと考えられた。
対処方法は、まず応急対策として床付け面から1m程度を埋め戻して噴砂や湧水を止めた。そして、土留壁の外側に揚水井戸(デープウェル)を設置し、砂礫層の被圧水位を床付け面より下に低下させた(図3)。なお、井戸の本数や揚水量は事前に数値解析を行って決定した。水位低下後に床付け掘削を再開し、噴砂が発生した杭の周囲にはセメントミルクでグラウト注入を行った。床付け完了後は速やかに底版コンクリートを打設して、2週間後には揚水を止めて漏水が発生していないことを確認し、その後の躯体工事などを進めた。
今回のトラブル事例は、砂地盤の掘削中に起こるパイピングによる出水事故とは状況が異なるが、被圧帯水層に杭を施工する場合には同様の注意が必要である。特にプレボーリング工法は杭周面が水みちとなる可能性があるので、杭周固定液を使用するなど、施工方法の選定には留意する。また、中堀り杭の最終打撃工法では杭の内側が水みちとなる可能性もある。このようなトラブルを避けるためにも、事前の地盤調査を適切に実施し、地下水位のデータも十分に吟味して施工計画を立てることが肝要である。
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
土木遺産を訪ねて
2023/02/01
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今月の一冊
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