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現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたくよう、実際の施工にあたっての失敗事例と対策を記載したものです。土工事、コンクリート工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考にしてください。

土工事1)切土

湧水による切土法面の崩壊

2013/04/22

工事内容 団地造成において別紙のような断面で切土工事を行い、のり面保護と植生工を行った。
代表的切土高;約4.5m
植生基材吹きつけ;t=3cm

工事の経緯とトラブル発生の様子

のように岩が露出しているのり面を所定の勾配で掘削し、ひきつづき岩の風化防止とのり面の緑化を目的として、掘削したのり面の前面に砂質土とジオテキスタイルを混合した補強土によって自立性のある土構造物を構築、植生基材を吹き付けた。この工法は、根付きがよく岩盤緑化が容易にできるという特徴を持っている。

この土構造物はベースが砂質土とジオテキスタイルであることから浸透性がよく、さらに浸透した雨水も裏面の排水材を伝わって下方へ導水する設計としていたが、大雨により崩壊した。

原因と現地で取った対処方法

崩壊した土砂(土構造物)を撤去したところ、切土のり面(岩)の中腹から大量の湧水が確認された。湧水は複数箇所から発生しており、多いところで一カ所あたり50L/分の湧水量であった。

のり面掘削時の判断では、亀裂の多い軟岩ではあったものの湧水はにじみ出る程度 であり、このような多量の湧水は想定しなかった。ジオテキスタイルによる補強土の裏面にはあらかじめ排水溝を設けていたが、これは上部あるいは表面から浸透した雨水を処理するためのもので、このような大量の湧水を処理するためのものではなかった。このため、排水が間に合わず背面水圧が過剰となりジオテキスタイル補強土全体を押し流してしまったことが崩壊のメカニズムとして考えられる。

崩壊した土砂をすべて撤去し、あらためて排水性のよいかごマットによりのり面の保護を図るとともに、かごマットを適宜覆土し植生の生育を図った。

今後の対応方針等

一般に土工事にあっては水処理が重要であるが、のり面の湧水は降雨の有無等によって大きく変動することもあることから、掘削中ののり面の様子や湧水の出方、周辺の地形を注意深く観察するとともに、地元から降雨時の湧水に関する情報を収集するなどして適切な工法を選択する。今回のように大量の湧水が発生する可能性のあるのり面の保護工としては、過剰な水圧を発生させずに速やかに排水できる工法を採用することとする。

[監修・文 ConCom事務局]

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