2022/07/01
国土交通省では、担い手不足への懸念や生産性向上へのニーズ等の課題、近年のICT技術の向上等の環境の変化を踏まえ、技術者制度に関する施策の具体化に向けた「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」を設置し、2021年11月より検討を進めています。
2017年6月に取りまとめられた「同検討会(第1期)」の施策の方向性は、
①高い能力を有する技術者の育成
②適正な施工の徹底
③技術者制度の基本的枠組みの再構築
④若年齢から活躍できる機会の付与
⑤働き方改革(職場環境の改善等)の推進
となっており、③技術者制度の基本的枠組みの再構築の中からは「特例監理技術者」や「専門工事一括管理施工」制度などが創設されました。
第2期についてはこれまで4回の検討会が行われ、令和4年5月31日に「技術者制度の見直し方針」が発表されました。このうち、監理技術者等に関連する部分を中心に紹介します。
建設工事費デフレーターの上昇(1.08倍)と、消費税の増額(8%から10%→1.185倍)を反映させ、
専任が必要な請負金額を4,000万円(建築一式8,000万円)以上
監理技術者の配置が必要な下請金額を4,500万円(建築一式7,000万円)以上
の金額とする見直し方針が示されています。
多様な建設工事においてICTの活用により施工管理の効率化を図るため、以下の条件のもと、監理技術者の兼任を可能とする見直し方針が示されています。
【工事現場に関する条件】
・工事の規模
一般的には、請負金額の大きい大規模工事になるほど、業務量が増大するものと考えられることから、1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の2現場とする。
・ICT環境
遠隔地から必要に応じて現場の状況をリアルタイムで確認し、コミュニケーションが図れるだけの音声・映像の送受信が可能な環境(スマートフォン・web会議システム等)の整備を行う。
・現場間の距離
予定外の事態が発生した場合に遠隔地から他の現場へ移動する必要が生じるため、現場間の距離は2時間程度で移動できる範囲とする。
【施工体制に関する条件】
・技術者の配置
監理技術者等からの連絡を理解し、現場に伝達することができるように、1年以上の実務経験を有する技術者を連絡要員として配置する。
・工事の業種区分
総合的な企画、指導、調整を要する土木一式、建築一式工事の施工体制は、同一工種の専門工事に比べてより確実であることが求められることから、下請次数は3次以内とする。
・下請業者の構成、確認等
指示等の伝達や現場の施工業者・作業員の状況把握が容易でなければならないため、日々の施工体制が遠隔から把握可能であるCCUSのシステムなどを活用する。
また監理技術者の兼任については、労働時間が過大にならないように留意するとともに、運用開始から1年程度経過後には、実態調査等により制度の運用状況のモニタリングも行うこととされています。
その他、同一の監理技術者が管理できる工事と見なせる範囲の合理化、技術者の途中交代に関する運用の見直し、技術検定の受検資格見直しなどについても、見直し方針が示されおり、具体化されれば技術者制度が大きく変わっていくことと予想されます。
この見直し方針を踏まえた今後の国交省の検討についてはCONCOMでも注視していき、具体化の内容等が明らかになり次第お知らせしていく予定です。
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