現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたく、実際の施工でよくある失敗事例と対策を記載したものです。土工事、基礎工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考としてください。

現場の失敗と対策

コンクリート工事

コンクリート工事

1)打設中(コンクリートの特性とクラック)

2026/01/05

コンクリート表面仕上げの失敗箇所で凍害による浮き・剥離が発生

工事の概要とトラブルの内容

東北地方の積雪が多い地域において、竣工後3年が経過している冬期に施工された屋外の機械基礎コンクリートスラブ(長さ5m×幅5m×高さ1m)の上面に、写真-1のような浮きと剥離が発生した。スラブ上面はあまり人が立ち入ることも無く、この変状の発生時期は不明であるが、竣工3年後の調査時点において、写真-1の他にもスラブ表面の各所で浮きが発生していた。表面が浮いている箇所はコンクリート点検ハンマーで叩くと異音により確認できるが、さらに強く叩けば割れて剥離する。浮きが認められるほとんどの箇所は、写真-1の拡大写真のように、数mmの被膜のようになったコンクリートが5mm程度浮いている状況であった。

写真-1 コンクリート表層の浮き・剥離

写真-1 コンクリート表層の浮き・剥離

原因と対処方法

〇原因

コンクリートの仕上げのタイミングは、外気温度等により変わる凝結性状やブリーディングの発生状況によって影響を受ける。冬場は気温が下がることから、凝結時間が遅くブリーディングも長時間発生し続けるため、仕上げのタイミングは遅くなる。夕方にコンクリートの打設が終了すると、仕上げは深夜に実施するような事例も多く、どうしても仕上げ作業を早く開始し、早く終了したいという状況になりがちである。仕上げのタイミングはブリーディングが終了し、ブリーディング水が内部に再度戻るようなタイミングで実施されることが多いが、これを早く実施しすぎると、仕上げ表面は膜のようにきれいになっているものの、膜下のコンクリートでは未だブリーディングが継続して発生し、ブリーディング水が膜の下に溜まってしまうような事がある。

このような内部水が残置していたり、あるいは内部水が乾燥した後も空隙となって残り、雨水の浸透や吸湿などにより、その空隙にまた水が溜まることで、この水が凍結膨張し、仕上げ表面の浮きを助長し、剥離を起こしたりする。施工記録が残っていないために、仕上げ作業の正確な時間等は分かっていないが、劣化メカニズムは上記と診断された。

〇対処方法

浮いている部分を叩いて除去し、健全な部分を露出させ、経過観察とした。構造的な問題となる箇所ではないものの、かぶりが薄くなるため耐久性の低下が懸念されたが、数mm程度ということもあり、経過観察とした。その後、越冬したが目立った変状は確認されていない。

重要構造物の場合には、浮き部分の除去後に断面修復するか表面保護工を実施するなどの対策が必要となる場合もある。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

まずは1日の温度変化を念頭に仕上げのタイミングも考えた施工計画を立案することが重要である。過去の施工実績や仕上げ専門業者、近隣の生コンプラント等から同種工事の仕上げの情報を収集し、コンクリートの仕上げのことをおろそかにせず、しっかりと施工計画を行う。

その上で、実際のコンクリートの状況を鑑みて経験豊富な技術者が仕上げのタイミングを判断する。仕上げのタイミングは凝結性状とブリーディング量を目視触診により見定める必要があるが、熟練工でも仕上げ開始のタイミングを見誤る時もある。さらに昨今の熟練工不足もありこのような失敗例が多くなっている。まずは、熟練工や施工経験が豊富な仕上げ業者を手配することが重要である。その上で施工計画との実際の温度環境や打設状況の相違を考慮して仕上げ開始のタイミングを熟練工等とよく相談して決定する必要がある。

コンクリート診断士の記述式問題1)でも同様の変状について出題されている。このような劣化メカニズムがあることを知ることが、同様の失敗をしないために最も重要なことである。

参考文献
  • 1) 日本コンクリート工学会:2020年 診断士試験問題 記述式問題 問題Ⅰ

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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