
コンクリート工事
コンクリート工事
4打設準備 (型枠・鉄筋組立・その他)
2026/04/01
コンクリート打継部は連続的に一体性を担保する事が困難なため、どうしても水みちとなり止水の弱点となる場合が多い。このため、コンクリート打継部には鋼板やゴム系等、各種の止水板が用いられる事が多い。写真-1、2はボックスカルバートを延長方向に打ち継ぐための止水板の設置例1)である。底版に側壁の鉄筋を定着させるために、底版コンクリート打込み時には、あらかじめ側壁鉄筋を組み立てている。写真-1に示すとおり、止水板についても所定の位置に設置している。写真-1を見れば、止水板を所定の位置にしっかり配置することが意外に難しいことがイメージしやすいのではないか。
写真-3のような配置の止水板に対して、壁コンクリートを打設する際、フレッシュコンクリートの側圧が止水板の片側のみに、例えば図-1のように作用することで、止水板が底版側へ倒れ込むように変形し止水機能が低下する。同様に、図-1のように底版の鉛直打継面に水平に止水板が設置される場合、止水板上面のコンクリートの自重やその上を作業者が踏んだりすることで止水板が折れ曲がり止水機能が低下する。特にゴム系止水板は曲げ剛性が小さいため、片側からの力の作用で曲がりやすい。
止水板の倒れ込みや折れ曲がりが確認された場合には、コンクリート打設前あるいは打設中の段階であれば、当該止水板の位置を打継面中央となるよう再調整し、再固定を行う。止水板に塑性変形や損傷が認められる場合には、当該部の交換または再設置を実施する。
一方、壁コンクリート打設後に止水板の倒れ込みが判明した場合には、止水板の機能低下により打継部に漏水経路が形成される可能性があるため、打継面に沿った止水対策を講じる必要がある。具体的には、打継部への樹脂系またはセメント系注入材による止水処理、あるいは打継部表面への被覆型防水材あるいは外部止水材の追加設置等の止水対策を併用することが求められる。
止水板は打継面の中央へ確実に配置し、十分な固定措置を講じる。壁コンクリートの打込みに際しては、止水板の両側から均等に打上げ、止水板に偏った側圧が作用しないように打込みを管理する。底版の打設時には止水板下のコンクリートがしっかり充填されていることを確認した上で、その上面にコンクリートを打込む。上部作業時に踏みつけないように止水板位置を明示するなど留意する。
止水板は水平打継面では中央に配置することが基本である。これは止水板前後でコンクリートの打込みを均等にすることで、前述のような偏圧による倒れが生じないようにするためであったり、止水板前後で均等な打込み圧を作用させて、コンクリートと止水板の密着性を高め、隙間ができるリスクを最小限に抑えたりするためである。水平打継面の中央からずれて設置されると、倒れや隙間が生じてそれが水みちとなり止水機能の低下を招く場合がある。一方、底版等における鉛直打継面においては、止水板の通りや高さの管理が不十分だったり、止水板固定用の鉄筋や金具の剛性が不足している場合に、コンクリート打設時の浮力や振動機による外力によって止水板が移動し、所定の位置からずれたりして、止水機能の低下を招く。
打設前の段階あるいは打設中に止水板の位置ずれが確認された場合には、位置の再調整を行い、所定の打継面中央となるよう再固定する。既にコンクリート打設が完了している場合には、止水板との距離が短くなってしまった側で、止水材の追加設置や表面被覆型防水材の施工等による補助的な止水対策を行う。漏水が懸念される場合には、打継部への注入材による止水処理等の補修方法を併用する必要がある。
止水板の設置位置については、事前に打継面中央となる位置を明示し、固定用鉄筋や専用の固定治具を用いて確実に保持する。打設中に止水板へ振動機が直接接触しないよう施工管理を行い、コンクリート打設後に位置のずれが生じていないか確認する。
止水板周囲のコンクリートの締固めが不十分な場合、止水板とコンクリートの界面に空隙や豆板が生じ、漏水経路が形成される可能性がある。止水板がコンクリートの流動を阻害することにより、局所的な充填不足が生じやすくなる。特に底版などで止水板が水平に設置され、コンクリートが鉛直方向に打込まれる場合には止水板の下側に空気だまりが出来たり、締固め不足箇所が生じたり、硬化後に水みちとなるような場合が多い。
止水板周囲に空隙や豆板の発生が確認された場合には、当該部の不良コンクリートを除去した上で、無収縮モルタル等による断面修復を実施する。また、止水板とコンクリート界面に連続した空隙が存在する場合には、エポキシ樹脂系またはセメント系の注入材を用いて空隙充填を行い、漏水経路の遮断を図る必要がある。
止水板の周辺は、止水板のずれに注意して入念な締固めを行い、コンクリートを確実に充填することが重要である。
止水板の接合部において、熱溶着不足や接合部の施工管理不良によって、完全な一体化接合ができずに止水機能が低下する場合がある。
止水板の接合部に溶着不良や隙間が確認された場合、当該接合部を切除し再度適切な条件で溶着を行う。既にコンクリートに埋設されている場合、接合部周辺への止水材の追加設置や打継部への樹脂注入による止水処理を実施し止水性能の回復を図る必要がある。
止水板の継手部については所定の施工方法に基づく確実な接合を行い、施工後の確認を徹底することが必要である。
運搬,設置,打設時までの施工機械や鉄筋等との接触により止水板が損傷した場合、止水機能の低下を招く恐れがある。施工中の取扱い不良や保護措置の不足が主な原因である。
止水板に切れや欠損等の損傷が確認された場合には、当該部を補修または交換する必要がある。コンクリートの打設前であれば補修材による修復や部分的な再設置を行い、打設後に損傷が判明した場合には、打継部への止水材の追加設置や注入材による補修を行い、止水機能の回復を図ることが望ましい。
止水板設置後は損傷防止のため作業員にその旨周知したり位置を明示したりする。コンクリート打設中に止水板が見えなくなっても、踏みつけたりバイブレータを直接あてたりしないように、施工管理する必要がある。
1) 西部ポリマ化成株式会社
https://www.seibu-p.co.jp/product/construction/blackseal.html
2) 日本リステン株式会社
https://www.risuten.com/shisuiban/index.html
3) CONCOM 現場の失敗と対策「コンクリートの打継目に設置した止水板の損傷」
https://concom.jp/contents/countermeasure/vol043/
4) CONCOM 現場の失敗と対策「止水板の下に空気だまり」
https://concom.jp/contents/countermeasure/concrete/cat02_vol4.html
編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。
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