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2025/02/03

国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」
改正~令和6年12月施行

コンコムのトピックスでも紹介していますが、国土交通省では、令和6年(2024年)2月に「適正な施工確保のための技術者制度検討会」の審議を踏まえ、監理技術者等の専任の取扱いの明確化、監理技術者を支援する者の配置について、監理技術者制度運用マニュアルの改正を行い、令和6年(2024年)4月1日から運用を開始しています。

さらに令和6年(2024年)12月には、改正建設業法に伴う政省令が正式決定され、12月13日よりさらなる改正法が施行されました。
これに伴い、現場技術者の兼任ルールがさらに具体化され、「監理技術者制度運用マニュアル」も再改正されました。
これまでも、監理技術者の専任緩和を目的として、監理技術者補佐(一級施工管理技士補を有する者又は一級施工管理技士等の監理技術者の資格を有する者)を専任で置いた場合は、監理技術者は「特例監理技術者」として2つの工事まで兼務が可能とされていましたが、今回のマニュアル改正では、さらに生産性の向上に資することを目的に、連絡員の配置や情報通信機器を活用する等の一定の要件に合致する工事に関しても、現場兼任を可能とする制度が新設されました。

現場技術者の専任の合理化

出典/国土交通省ホームページ

兼任の要件(全てに適応する必要あり)

①請負金額(政令)
1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満

②兼任現場数(政令)
2工事現場以下

③工事現場間の距離(省令)
1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内

④下請次数(省令)
3次まで

⑤連絡員の配置(省令)
監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者を配置
(土木一式工事又は建築一式工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)

⑥施工体制を確認する情報通信技術の措置(省令)

⑦人員の配置を示す計画書の作成、保存等(省令)

⑧現場状況の確認のための情報通信機器の設置(省令)

改正等の詳細、運用の留意事項は国土交通省のホームページでご確認ください。

今回の改正で特に注目すべきは、請負金額1億円(建築一式工事は2億円)未満の上限が設けられているものの、従来、特例監理技術者として2つの現場を管理する際に配置が必要とされた「監理技術者補佐」が「連絡員」となった点。特に、若手技術者の採用に苦慮している地域の建設会社にとっては、確保が難しい技士補等の資格を有する「監理技術者補佐」ではなく、当該工事の実務経験1年以上の「連絡員」の配置によって2つの現場を兼任できるということは、大きなメリットではないでしょうか。従来から運用されている特例監理技術者制度もそのまま活用可能で、こちらは「専任特例2号」として運用され、今回新たに創設された特例監理技術者制度は「専任特例1号」として運用されます。
※「連絡員」に当該建設工事への専任や常駐は求めず、雇用形態についても、直接的・恒常的雇用関係は必要ない。ただし、施工管理の最終的な責任は請負会社が負う。
また、「専任特例1号」と同様の要件で、「営業所専任技術者」による専任現場(1箇所)の兼任も認められることとなりました。

兼務の要件、建設業法施行規則と監理技術者制度運用マニュアルとの対比等の詳細は、国土交通省のホームページ発表資料でご確認ください。 

 

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