現場の失敗と対策 このコンテンツは現場で働く皆さんの参考としていただきたく、実際の施工でよくある失敗事例と対策を記載したものです。土工事、基礎工事、基礎工事の3分野を対象として事例を順次掲載していきますので参考としてください。

現場の失敗と対策

基礎工事

基礎工事

2)その他の場所打杭

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旧杭撤去後の埋戻し部におけるアースドリル拡底杭の傾斜

工事の概要とトラブルの内容

建築の建替え工事において、既存建物を解体して基礎杭(場所打ち杭φ1,000mm、L=15.0m)を引き抜き、流動化処理土による埋戻しを行った。全ての基礎杭の引抜きと埋戻しの完了後、新設の基礎杭の施工を開始した。新設基礎杭はアースドリル拡底工法で杭径φ1,000mm−φ1,600mm、杭長L=20.0mであり、新設基礎杭の1部は旧杭埋戻し箇所に近接して施工する計画であった。

表層ケーシング(h=6.0m)を建て込んだ後、掘削を進めると、GL−7.0m付近から旧杭埋戻し部に掘削孔が寄り始めたため、傾斜を修正して掘削を進めた。GL−8.0m以降の掘削では、掘削土に固化した流動化処理土の混入が確認されたとともに、掘削深さに比して掘削土量が多いことから、旧杭埋戻し部の一部が崩落しているものと推測された。

掘削完了後、新設杭の施工の継続が可能であるかを確認するため、超音波による孔壁測定を行った結果、GL-7m〜−13mにかけて旧杭埋戻し部の流動化処理土が崩落し、孔壁が崩壊している状況が確認された(図-1)。

高さ7mの範囲で孔壁が崩壊している状態で新設杭の施工を継続した場合、打設したコンクリートが旧杭埋戻し部の崩落部に流動することで、鉄筋かごに作用する横方向の力により、鉄筋かごの変形や傾斜が発生する可能性が高いと判断し、この杭の施工を中止して対策を検討することとした(図-2)。掘削孔は放置すると孔壁崩壊がさらに進み、周辺地盤に影響を及ぼす恐れがあったため、流動化処理土でGLまで埋戻しを行って復旧した。

写真-1 良好な止水板の設置状況図-1 孔壁の崩壊状況

写真-2 コンクリート打設後の止水板図-2 発生が懸念される杭の不具合

対処方法

旧基礎杭の埋戻し範囲が崩落した原因は、旧杭埋戻し部に掘削孔が傾く傾向があったため、埋戻しに使用した流動化処理土の強度が地山の強度より低すぎたためと考えられた。また、新設基礎杭の掘削時、孔壁として自立するための強度が不足していたため、孔壁が崩落したものと考えられた。

このため全周回転掘削機を使用し、孔壁崩落の可能性がある旧杭下端の深さまでケーシングを挿入して孔壁を保護し、旧杭撤去以深でアースドリル拡底を行う方法に変更した。

この施工方法の変更により、新設の基礎杭を施工した結果、旧杭埋戻し部における孔壁崩壊は確認されず、問題なく基礎杭を施工することができた。

同様の失敗をしないための事前検討・準備、施工時の留意事項等

旧杭撤去後に流動化処理土によって埋戻しを行い、これに近接して新設杭を施工する場合、地山と流動化処理土の強度の差が大きすぎると掘削孔は強度の高い方から低い方に逃げる傾向がある。

このため、流動化処理土の強度が地山より高い場合は地山側に、低い場合は旧杭埋戻し側に掘削孔の傾斜が生じやすい。このため、旧杭埋戻しに使用する流動化処理土の強度は地山と同等か少し高めの強度を設定する。

建築基礎構造設計指針1)では、「杭撤去後の杭孔は原地盤と同等以上の強度を確保するため流動化処理土などで埋め戻す」とされ、流動化処理土利用技術マニュアル2)では、再掘削の可能性がある場合の流動化処理土の現場強度を一軸圧縮強さqu=500〜1,000kN/m2としている。例として関東ローム(N=3〜8程度、qu=100〜300kN/m2)の場合、目標とする流動化処理土の現場強度はqu=200〜400kN/m2となる。

旧杭撤去の埋戻し部の強度は、新設杭の施工に大きく影響するとともに、地山の一部として構造物の安定や周辺にも影響を及ぼすため、地山の強度と同等か少し高めに設定することが必要である。

参考文献

1)(一社)日本建築学会:建築基礎構造物指針

2)(独)土木研究所/(株)流動化処理工法総合監理編:流動化処理土利用技術マニュアル

「現場の失敗と対策」編集委員会

編集委員会では、現場で起こりうる失敗をわかりやすく体系的に理解できるよう事例の形で解説しています。みなさんの経験やご意見をお聞かせください。

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