2024/02/01
担い手不足への懸念や生産性向上へのニーズ等の課題、ICT技術の向上等の環境変化を踏まえ、技術者制度の見直しの議論を進める国土交通省は、令和5年12月に「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」の第5回会合を開きました。令和4年4月に開かれた第4回検討会を経て、「技術者制度の見直し方針」の取りまとめ(同年5月)、及び「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部の改正」(翌5年5月)を実施していましたが、1年8か月ぶりに検討会を再開しました。
「技術者制度の見直し方針」の内容については、コンコムのトピックスでも以前に紹介しています。
今回の第5回からは、制度をめぐる検討課題を短期的、中長期的の2つに整理し、本格的な議論に着手しました。短期、中長期それぞれの課題項目についてご紹介します。
①企業集団制度の合理化
図1)現行の企業集団制度の考え方に対する、日本経済団体連合会等からの緩和要望(国土交通省資料より)
平成29年6月の「適正な施工確保のための技術者制度検討会とりまとめ」(以下、「前期検討会とりまとめ」という。)のなかで「⑤働き方改革(職場環境の改善等)の推進」として整理された課題のうち「限られた技術者の有効活用や、現場での経験を積ませることによって技術力の向上を図っていく等の観点から」検討課題として例示されていた、「企業集団を構成する会社間における技術者の融通機会を拡大すること」が短期的課題として取り上げられました。これについては、図1)のように日本経済団体連合会をはじめ建設関連団体からも現行制度に対する緩和の要望が出されており、今回の検討会でこれらの要望に関しても議論されました。
②働き方改革推進への対応
前期検討会とりまとめ「③技術者制度の基本的枠組みの再構築」の中で「具体的な制度の再構築」として整理された「専任の取扱いの明確化」、及び「⑤働き方改革(職場環境の改善等)の推進」として整理された課題の中の「監理技術者に対するサポート体制の充実」の2課題が、短期的課題「働き方改革推進への対応」として取り上げられました、
・専任の取り扱いの明確化について
建設現場における遠隔施工管理の進展や働き方改革を推進する観点から、国土交通省が発出している通知、マニュアルにおいて、遠隔施工管理と「専任の取扱い」に関する整合にむけての検討や、育児休暇や勤務時間インターバルによる休養などの柔軟な取得に向けた対応を行うことが議論されました。
・監理技術者らを支援する者の配置について
令和6年4月から建設業にも罰則付き時間外労働の上限規制が適用されるものの、技術者の週休二日の取得状況が未だ十分でない状況が見られる中で、バックオフィス等による現場技術者支援が効果的な事例が増えていることが紹介、議論されました。
以上の短期的な検討課題については、令和5年度中に対応方針を決める考えです。なかでも企業集団制度の緩和要望が認められれば、監理技術者にとって活躍の機会が増加するとともに、建設業者にとっても、監理技術者の人材確保がより柔軟に行えるようになることが期待できます。CONCOMでも引き続き注視し、お知らせしていきます。
①専任要件のさらなる合理化・あり方などの検討(元請けと下請けに混在する主任技術者の区分再整理を含む)
②工事経験の見える化の検討(難易度の高い工事などの施工管理がより高い技術を有するものによってなされる方策)
③悪質な不正行為に対する技術者への罰則規定の検討
④主任技術者の確認について、第三者機関による統一確認方法の検討
⑤対応する「施工管理技士」がない業種についての検討(機械器具設置工事業等)
の5項目が挙がっていましたが、今回の第5回検討会では項目を提示するまでにとどまりました。今後議論を進め、令和6年度中を目途に課題対応の方向性をとりまとめる考えです。
CONCOMでは、検討会で議論・決定される中長期的課題への対応の方向性についても注視し、具体的な内容が分かり次第お知らせしていく予定です。
詳細は国土交通省のホームページでご確認ください。
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